入札改革の証明 6年間で55億円の節約

igaken502009-01-17


談合・汚職事件から5年、改革を実現

 5年前の2004年1月16日は、元契約課長や市職員や水道工事業者に続き(2003年10月9日に逮捕)、元総務部長が逮捕された日です。再び市役所に強制捜索が入り、当時、市役所では、組織ぐるみの事件ではないかという疑惑が深まり、上層部や疑惑市議のさらなる逮捕にもつながるのではないかと騒然としていたことを思い出します。結局それ以上の逮捕はなく、疑惑が明確に晴れないまま、事件には幕が引かれてしまったのですが、全国的なニュースになった「水道工事をめぐる立川市入札談合汚職事件」から早いものでもう5年が経ちました。

(詳しくは五十嵐のホームページの『談合追及のページ』に書いてあります)

 私は、1998年の初当選以来、情報公開制度を利用して、市議会で初めて公共工事の高値落札の実態を明らかにし、談合の疑いがあると再三再四指摘していました。同時に談合をなくす入札制度改革を提案し続け、2001年に予定価格の事前公表などの改革を実現していましたが、これからさらなる改革がなされそうな状況の流れの中で、上記のように、2003年10月に事件が発覚。当時の契約課長や総務部長などの職員4人(うち1人は不起訴)や業者4人が逮捕され、7人の有罪が確定しました。その後も市議会で事件の追及の先頭に立ち、「一点突破」で、談合をなくす入札改革を提案し続けてきましたが、現在では入札等監視委員会の設置や工事・委託・物品の契約すべてに一般競争入札を導入させるなどの改革を実現することができ、下の読売新聞の記事にあるように、立川市の入札・契約制度は全国的に見てもかなり進んでいると言われるようになりました。

4年連続1番の行革 成果は職員約610人の給与削減に匹敵

 入札改革によって、競争性が高まり、落札率が低下した結果、工事、業務委託、物品購入は予定していた価格より、2002年度約4億6000万円、03年度約5億2800万円、04年度約7億200万円、05年度約11億9000万円、06年度約10億8400万円、07年度約15億2400万円も安くなり、事件後の4年間では約45億円の節約、ここ6年間では合計約55億円の節約となっています。入札改革の成果(落札率低下による影響額)は、2004、05、06、07年度と4年連続で一番の行財政改革となっています。この55億円という額は、約610人の市職員の1年分の給与を削減したことに匹敵し、1年間平均でも約101人の職員の給与を6年間削減し続けていることになります。

終わりのない改革 公契約条例の制定も これからも全力で

 しかし、落札率が高止まり傾向である業務委託の契約の改革はまだまだ途上であり、物品購入の契約も物によって高値落札であるものもあります。さらに最近では工事、委託の入札に、談合が疑われるような不自然な入札も散見される状況も出てきています。今後も、事件を風化させず、市民の皆さんの税金が談合や不正によってムダに使われないように、入札・契約状況を監視し、更なる入札改革を提案するとともに、職人さんなどの末端労働者や下請け業者にしわ寄せがいかないように市に公契約条例を早期に制定させるよう全力で頑張りたいと思います。

2008年11月29日 読売新聞 多摩版


工事入札に改革効果 業務委託落札は 高止まり92% 立川談合・汚職から5年

 立川市発注の水道工事を巡る談合・汚職事件の発覚から5年が過ぎた。市が昨年度に実施した公共工事競争入札で、予定価格に対する落札価格の割合(落札率)が、事件発覚前の2002年度と比べて約9・7ポイント下がった(新庁舎建設工事を除く)一方、委託事業の落札率が4・7ポイント減にとどまっている。事件後の改革は成果を上げているものの、契約制度をめぐる課題は残る。(山岸肇)
 ◆工事

 昨年度の工事は、落札額が約71億円と高額な新庁舎建設工事を除くと151件。予定価格の総額が39億1000万円だったのに対し、落札価格の総額は32億6000万円で、落札率平均は83・42%。予定価格から契約金額を引いた「契約差金」は6億5000万円で、02年度の3億円の倍以上。その分、市財政の節約につながっている。

 市は事件後、弁護士や公正取引委員会OB、市民らによる第三者委員会を設置。委員会の提言などを受け、入札参加者同士が顔を合わせ、談合の温床となる機会をなくすための「郵便入札制度」や、一定の要件を満たせば、どの業者も参加できる「条件付き一般競争入札制度」などを導入し、段階的に改革を進めてきた。

 ◆業務委託

 昨年度の業務委託契約556件の総計をみると、予定価格の36億9000万円に対し、落札価格は34億1000万円。落札率は92・46%。契約差金は約2億8000万円だった。

 業務委託契約のうち、最も多いのが、特殊な技術が必要な場合などに1業者と契約する「特命随意契約」。昨年度は廃棄物処理や情報処理業務など計267件で48%を占める。落札率は約98%と、業務委託の落札率全体を押し上げる要因にもなっている。残りは予定価格の金額が少ない契約など。入札・契約制度改革の監視を続ける五十嵐健市議(市民の党)は、「特命随意契約のうち、競争入札に移行できるものがあるはず」と指摘する。

 ただ、市の仕事を請け負ったことのある業者は、「予定価格自体が毎年下げられ、落札率で見るほど、うまみはない。それでも続けていかなくてはいけない苦労もある」と明かす。

 ◆新制度

 市は来年1月から、過度な低入札価格による品質の低下を防ぐため、「変動型最低制限価格制度」を都内の自治体で初めて実施する。市が事前に最低制限価格を設定するのではなく、実際の入札金額を基に最低制限価格を算定するもので、適正な市場価格が反映されやすくなると期待されている。

 同市の改革について、入札制度に詳しい桐蔭横浜大法科大学院の鈴木満教授は、「全国的に見てもかなり進んでいる。工事の改革はほぼ完成に近いが、委託は特命随契の扱いなどで改革途中。ただ、専門性が必要だったり、業界自体が育っていないことも多い業務委託については、競争が成り立たないものもあり一筋縄ではいかない。一つひとつの案件を精査していくしかない」と話している。

立川市の水道工事談合・汚職事件 市発注の水道工事をめぐり、市職員が漏らした指名業者名などの情報を基に、入札に参加した管工事業者が談合していたとして、警視庁が2003年10月、業者のほか、当時の契約課長と嘱託職員(元砂川支所長)を偽計入札妨害などの容疑で逮捕。翌04年1月には、総務部長も逮捕され、それぞれ有罪判決を受けた。

※五十嵐はこの記事の取材を受け、資料提供をしました。記事に出ている五十嵐のコメントのところを太字にさせていただきしました。写真が11月29日の読売新聞