立川市の入札改革の変遷と落札率の推移とその成果(入札改革の証明 その2)
今日は1月17日のブログで書いたこと(「入札改革の証明 6年間で55億円の節約」)に追記・補完し、入札改革の変遷と落札率の推移と改革効果について少し詳細に記述します。
さて、ここ数年に実現できた入札・契約制度改革などの主なものは以下のとおりです。
◆ここ数年の入札・契約制度改革
2006年10月 業務委託の条件付き一般競争入札の拡大(予定価格が50万円を超える委託案件を対象)
2006年11月 内部通報制度の施行
2007年10月 入札改革フォーラム2007の立川市での実施
2008年3月 罰則強化 入札参加停止期間の最大を2年から3年へ拡大
2008年4月 物品購入への条件付き一般競争入札の導入(予定価格が80万円を超える物品買入れを対象)
2008年4月 優秀工事表彰制度の確立(優秀施工案件の市ホームページでの公表など)
これ以前の改革とあわせた入札改革によって、公共工事、業務委託、物品購入の落札率が下がって、この6年間で約55億円の契約差金が生まれ、節約になっていることに触れましたが、以下が公共工事や委託業務や物品購入の年度ごとの平均落札率(加重平均)と契約差金の推移です。
◆工事の平均落札率と契約差金
加重平均落札率 契約差金
2001年度 93.16% 3億3337万23円
2002年度 93.13 % 3 億 437 万 7612 円
2003年度 91.87 % 2 億 7780 万 1545 円
2004年度 84.77 % 3 億 7825 万 4499 円
2005年度 82.24 % 6 億 151 万 3959 円
2006年度 81.20 % 6 億 5525万3051円
2007年度 89.35% 12億1763万7212万円
※07年度の工事の落札率が高くなっているのは、金額の大きい新市庁舎建設の落札率が高かったため、落札率の合計を単純に足して割った単純平均落札率は84・13%になる。
◆業務委託の平均落札率と契約差金
加重平均落札率 契約差金
2001年度 97.24% 1億5608万6473円
2002年度 97.03 % 1 億 3828 万 1576 円
2003年度 96.57 % 1 億 6847 万 4080 円2004年度 93.28 % 2 億 8593 万 794 円
2005年度 92.25 % 5 億 4234 万 5363 円
2006年度 90.49 % 3 億 9350 万3393円
2007年度 92.46% 2億7854万8328円
◆物品契約の平均落札率と契約差金
加重平均落札率 契約差金
2002年度 93.37% 2908万5246円
2003年度 85.02% 8195万8407円
2004年度 91.10% 3800万2129円
2005年度 85.27% 4530万7271円
2006年度 87.79% 3551万1346円
2007年度 91.60% 2793万2002円
◆2002年度から2007年度契約差金の合計(工事・委託・物品)
2002年度 4億7174万4439円
2003年度 5億2823万4032円
2004年度 7億218万7422円
2005年度 11億8916万6593円
2006年度 10億8426万7790円
2007年度 15億2411万7542円
6年間の合計 54億9971万7818円
◆落札率低下による影響額 (工事+委託+物品)
2003年度の平均落札率を基準として、そのときの落札率と比較して、いくら節約できたかを影響額として示したもの。最大の行財政改革となっています。ちなみに2003年度の平均落札率は工事91.87%、委託96.59%、物品85.02%です。
2004年度 約2億9000万円
2005年度 約6億3000万円
2006年度 約6億1000万円
2007年度 約4億350万円
※ 落札率とは、市の予定価格に対する業者の落札価格の割合(例えば、予定価格1億円の工事を落札率80%で落札すれば8000万円で、2000万円の節約になる)。談合や不正の有無を見分けるバロメーターになり、この率が100%に近いほど談合の可能性は大きく、落札率が90%を超えるものは談合の疑いがあると指摘されている。
※予定価格とは、市が公共工事や業務委託を発注する際や物品を購入するときの上限金額で、この価格を1円でも上回ってしまうと業者は契約できなくなる。
例えば、立川市の公共工事の場合、その予定価格の「3分の2から100分の80」(約66.6%〜80%)を最低制限価格(下限金額)としており(ほとんどは予定価格の3分の2)、この価格を下回った入札は失格になり、業者は落札できない。最低制限価格から予定価格の間で競争し、その中で一番安い値をつけた業者が工事を落札することになる。
業務委託の場合は落札率50%を下回る場合は、調査してキチンと業務ができるとわかれば、50%以下の落札率でも落札できる(低入札価格調査制度)。また、建設工事に係る設計、測量等の業務委託には変動型最低制限価格制度と言って、過度な低入札価格での落札を防止し、より市場価格に近くなるという新しい制度を2009年、今年の1月1日から導入しています。
(「お知らせ 変動型最低制限価格制度の試行実施について」を参照)
◆立川市のホームページの入札改革関連のページへリンク
立川市のホーページは入札契約制度や入札改革関係のページが結構ありますが、入札事件や入札改革関連は主に品質管理課のページにあり、工事や委託の落札率の公表や制度(要綱や要領など)については契約課のページにあって、分かれており、見たいページを探すのに、慣れている私にとっても大分苦労するというのが実状です。以下はわかりやすくリンクできるように、リンク集をつくりました。関心のある方はご覧ください。
◆契約課
◆公正で透明性・競争性の高い入札・契約制度改革を進めるために
2005年兵庫の明石市、2006年三重県の松阪市に続いて、2007年10月9日と10日に立川市で開催された『入札改革フォーラム2007』の記録です。入札改革の第一人者で、桐蔭横浜大学法科大学院教授の鈴木満先生の発案により、入札改革の先進自治体が自主的に開催してきたものです。ちなみに、これが効果を上げてきたために、それに危機感を感じたためか、2008年に愛知県の豊田市でおこなわれたフォーラムからは国土交通省の介入が始まったようで、内容的には様変わりし、後退しているとの指摘もあります。残念ですが…。
◆2007年入札改革フォーラム基調講演「検証・間違いだらけの入札改革」(PDF形式 17ページ)
基調講演 : テーマ 「間違いだらけの入札改革」 講演者 : 鈴木 満 (桐蔭横浜大学法科大学院教授)
入札改革の第一人者で、立川市入札等監視委員会委員長でもある鈴木先生の講演です。非常に参考になります(地方自治体議員は必見を)。
◆5年目の新たなる決意−入札事件を風化させない (PDF形式 23ページ)
立川市の入札談合汚職事件から5年、事件を風化させず、二度と再び繰り返さないために、市がまとめたものです。
【番外編】
◆コンプライアンス実態調査アンケート最終報告 (PDF形式)
5年前の入札談合汚職事件の一連の裁判の中では、市議会議員などからの口利きなどが生々しく証言され、事件後に行われた職員への実態アンケート調査でも市議からの口利きなどの圧力があることを裏付ける結果が出ました。
上記のコンプライアンス実態アンケート調査は、私が議会で強く要望したことにより実現し、2008年5月に実施した職員へのアンケート結果の最終報告です。いまだに、市議などからの口利きがあるという結果が出ています。
やっぱり口利き、働きかけなどの記録化公表制度が必要です。