放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについて (2012年3月議会 一般質問から その3)


5月5日。ついに日本の原発の稼働がゼロになりました。

このまま「原発にはさよなら」したいと心から願うばかりですが、政府は相変わらず「安全無視の再稼働ありき」の姿勢。電気が足りない、電力不足という大合唱が官僚や財界やマスコミなどではじまり、活断層だらけの地震列島・地震大国ニッポンで原発を再稼働をしようとしています。

福島第一原発の大事故の原因究明がきちんとされず、誰も責任をとらない状況で、利権にまみれた懲りない面々が再び跋扈しようとしていますが、これを許してはいけません。

とにかく、原発再稼働 NO !! という声をあげなければなりません。


さて、3月16日に以下の3点について一般質問をおこないましたが、前回に引き続き、3点目の放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについて」の質問について報告します(下記)。

1 家庭ごみの有料化方針の撤回を

2 地区図書館への指定管理者制度の導入について

放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについて


質問の中にもありますが、立川市では、食品の放射能測定システムを設置してほしいという陳情が市議会で全会一致で採択され、2012年度予算には計上していなかったのですが、予備費対応で、食品の放射能測定装置購入を検討し、機種の選定をしているところでした。

検査検体を多くするために短時間で測定できて、セシウムの検出限界値も1ケタ台。

今回の質問では、そういった機種をと思って、茨城県のある会社が開発した800万円台の高性能のゲルマニウム半導体検出器が理想的と考えて、検討するように提案しました。


この機器の特徴は、

専門的な知識がない人でも簡単に測定ができ、
機器の重量も250キログラムと比較的軽く、特別の設置場所の必要がなく、
従来のゲルマニウム半導体検出器よりもかなり安く、
精度がよく、セシウム137の検出下限値も、測定時間20分で3.2ベクレル・パー・キログラム、測定時間1時間で1ベクレル・パー・キログラムになる、

とのことで、保護者たちの要望に副うものだと思っていました。


しかし、今回の質問への答弁のなかでも出てきますが、立川市は、応募していた「消費者庁からの放射性物質検査機器の無償貸与(第4次配分)」に当選して、2、3ヶ月後に貸与を受けられることになり、食品の放射能測定装置設置を購入することはご破算になってしまったようです。


放射性物質検査機器の無償貸与の第4次配分について
http://www.caa.go.jp/jisin/pdf/20120426_4_haibun.pdf


今回、消費者庁からは170台の貸与なのですが、下記のように、東京都からは15区市が当選。
放射性物質検査機器の第4次配分(東京都)
新宿区、世田谷区、台東区、文京区、港区、目黒区、千代田区葛飾区、東村山市東大和市国立市、多摩市、小金井市西東京市立川市

当選したことについては、喜びたいところですが、問題なのは、放射性物質検査機器の機種が選べないことです。

たぶんシンチレーション式のものでしょうから、セシウムの検出限界値が高くなってしまう可能性があります。

もし、精度が悪い機種の場合、検出限界値を下げるために、測定に時間がかかるために、多くの給食食材を測ることは困難で、そうすると、おのずと食材を事前に検査することも不可能になる可能性があります。

機種が何になるかはわかりませんが、その機種の検出限界値によっては、立川市がもう1台自前で買うように働きかけなければいけない事態になりそうな気もしています。



なお、下記の文章については、確定した原稿ではありませんので、すべての文章について五十嵐に責任があります(文責:五十嵐)。


2012年3月議会 一般質問  放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについて


◆五十嵐

 次に、大きな3点目、放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについてお聞きいたします。
 この件については大きく2点聞いていきます。学校給食や保育園の給食食材における放射性物質の厳しい市独自の基準についてと、食品の放射能測定装置についてであります。
 食品中の放射性セシウムの規制値が、ことしの4月から、飲用水で10ベクレル・パー・キログラム、牛乳・乳製品で50ベクレル・パー・キログラム、野菜・穀類、魚・肉類などの一般食品で100ベクレル・パー・キログラム、乳児用食品で50ベクレル・パー・キログラムとなり、暫定規制値よりも厳しくはなりますが、放射性物質への感受性の高い子どもたちにとっては、さらに厳しい基準を設けるべきだと思いますし、そう考えている保護者の意見をたくさん聞いています。ゆえに、学校給食や保育園の給食などについては、前から訴えてきましたが、立川市でも国基準よりさらに厳しい独自の基準を設けて、子どもたちが内部被曝をしないようにすべきだと思いますが、市長の見解を求めます。
 食品の放射能測定システムを設置してほしいという陳情が全会一致で採択され、市では食品の放射能測定装置設置に向けて努力されていると思いますが、その検討状況をお示しください。
 検査機器導入については、既に機器を導入した地方自治体がその精度不足で苦慮しているという報道がなされていますが、私は、精度が高く、保護者が納得する検査機器を導入すべきだと考えております。
 ことし2月に、茨城県のある会社が800万円台で高性能のゲルマニウム半導体検出器を新しく開発したようです。これまで、ゲルマニウム半導体検出器は高価、大体1,500万円から3,000万円程度で、専門家による操作が必要、さらに重量も重く、専門の部屋も用意しなければならないということで、立川市での導入は難しいと感じ、立川市で導入できるものはヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器などと思っていました。
 しかし、この会社で放射能測定装置を見学した知人によると、操作が簡単で、特別な部屋の必要はなく、結露が出ないように空調をきかせるだけの部屋でよく、機器の重量も250キログラムと ─大体私の2.5倍ぐらいなんですけども─ 比較的軽く、従来の機器よりかなり安く、しかも精度がよいとのことです。これなら、専門的な知識がない人でも簡単に測定ができるし、従来のゲルマニウム半導体検出器よりもかなり安く、しかも精度がよく、セシウム137の検出下限値も、測定時間20分で3.2ベクレル・パー・キログラム、測定時間1時間で1ベクレル・パー・キログラムになるとのことです。測定対象も、パンフレットでは食品、肉類、魚類、野菜、土壌、水などと書いてありますが、使い捨てパックの測定容器などもあり、基本的には母乳や尿などを含めて何でも測定できるようです。年間のメンテナンス費は10万から15万円、器械の設置、セッティング費は、運送費、設置費、器械の使い方のレクチャー込みで20万から25万円、頼んでから搬入までは現時点で4カ月から5カ月かかるとのことでした。
 現在、既に検査機器を導入した自治体が機器の精度不足に苦慮している状況を見ると、このような安くて精度のよいゲルマニウム半導体検出器を導入していくことは、費用対効果の面から見ても十分見合ったものになり、検討に値すると思いますが、いかがでしょうか。見解をお示しください。
 以上で1回目の質問を終わりまして、以降は一問一答で質問させていただきたいと思います。


清水市

 次に、放射能測定について独自の基準値をという質問でありますが、4月から設定される放射性物質の食品への新たな基準値については、より一層、食品の安全と安心を確保する観点から設定されたものであり、国からの通知でも、小中学生などについては、給食も含めた朝、昼、夕の3食分の摂取量を考慮して基準値を計算しているため、給食に使用される食品が基準値に適合していれば、安全性は十分に確保されていると示されております。市で独自に食材の基準値を設けることは考えておりません。
 その他は担当から答弁いたします。


○澤・教育長

 それから、機器の話がございましたけど、放射能の関係ですが、機器の御紹介もありましたけれども、市で設置する放射能測定器の機種につきましては、4月から改正される新基準値あるいはメーカーの対応を踏まえて、測定精度のほかに操作性、維持管理、価格なども考慮して、選定していきたいというふうに考えております。


○内田・環境下水道部長

 食品検査の機器の導入についての御質問でございますが、学校や保育園の給食食材につきましては、安全の確保と安心のため、平成23年8月から主な給食食材の放射能検査を実施し、食品衛生法の暫定規制値に基づき安全性の判断をしているところでございます。
 また、議員御紹介のように、国はことしの4月から、現在の暫定基準値より厳しい規制値を設定するというふうに聞いております。
 市場に流通されている食品は基本的に安全と認識しておりますが、給食食材の安全の確保と安心のため、市では食品放射能測定装置を備えて、給食食材について測定を行えるよう、庁内関係部署で現在検討を行っているところでございます。機種及び具体の測定方法等が決定次第、対応してまいりたいと考えているところでございます。


◆五十嵐

 順番を変えまして、放射能から子どもたちを守るための具体的な取り組みについてからお聞きしてまいります。
 市独自の基準を設けないということは、ずっとこの間、私との議論の中で設けないという話になっているんですが、ここで長く議論してもひっくり返りそうにはありませんので、私はここで、武蔵野市国立市のとっている方策、立川ももちろん、今、学校給食に対する食材への安全をしっかり図っているという意味では、多摩26市内ではトップクラスにあるとは思っておりますけれども、さらに抜けた対策をやろうとしている武蔵野市国立市のいいところを取り入れてやっていただきたいなと要望いたします。
 また、食品の放射能測定装置の設置に向けてなんですが、どうでしょうか。今、新聞報道によると、検査機器の精度が時代おくれになってきていると、それによって、それを調整するためには、新しいものを買うか、その機器を補正するというようなことが言われているんですが、そうするとまたお金がかかり過ぎてしまっていますので、立川市は、例えばドイツの放射線防護協会もしくは委員会だったと思いますけども、そこは(セシウムについて)4ベクレル・パー・キログラムと、このぐらいの一番厳しい基準でいくべきだという提言もされているという過程もありますから、やはり食品における放射能汚染というのは少ないにこしたことはありませんし、ゼロに近づけたほうがいいわけですから、そういった正確にはかれる機器を最新のものを設置しようと思うのは当然だと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせください。
 以上です。


○筒井・市民生活部長

 食品放射能検査機器の準備にかかるプロセスです。
 一つは、まずは消費者庁の貸与選考に申請をしたいと思っておりますが、それに漏れた場合にあっては、当然、スクリーニング検査機器がよいのか、新基準設定に伴って、市場に安価な機器で精度の高いものが流通し始めておりますゲルマニウム半導体の機器がよいのかについて、まず重要なことは、市民への安心の確保ということを最重点に置いております。
 したがいまして、議員御紹介のように、遅きに失することもいけないでしょうし、拙速に事を構えることもいけないので、より市民に安心をということの観点から、精度の高い機器について、速やかに災害対策本部で決定した後に購入の準備を進めたいと思いますが、もう少し慎重に機器の見きわめをしたいと考えております。


◆五十嵐

 なるべく慎重に検討していただいて、なるべく、ちょっと矛盾するようですが、早く導入を決めていただきたい。やはり子どもたちの安全が第一ですし、親たちの安心を得るための一つの大きなものになると私は思っていますので、ぜひ早目に対応していただくことを要望いたします。