2012年度 立川市特別会計競輪事業予算への賛成討論 

3月議会も、あと残すところあとわずかとなりました。22日の本会議が最終日となります。

以下は、3月6日の予算特別委員会でおこなわれた賛成討論です。



2012年度 立川市特別会計競輪事業予算への賛成討論


私は、議案第3号、2012年度立川市特別会計競輪事業予算に賛成の立場で討論をいたします。


 競輪事業は、全国的に見た場合、車券発売収入は1993年度の1兆9,553億円がピークで減少が続き、半分以下になり、その3分の1に迫ろうとしています。立川市も例外でなく、2006年度から一般会計に1,000万円しか繰り出せず、ピーク時と比べると売り上げが落ち込み、まさに「想定外」の状況が続いてきました。


 しかし、2005年3月に策定した立川競輪経営改善戦略などに基づき、弾力的な人員配置などによる人件費の削減、入札制度の改革による仕様書見直しや複数年契約の実施などによる委託費の削減や電力自由化による契約の見直し、併売・場間場外などの販売経路の拡充やKドリームスの創設などの経営努力や経営改革を着実に進めて、損益分岐点を引き下げ、普通開催の赤字幅を大幅に圧縮してきました。


 従事員の皆さんの御理解、御協力を得たことも大きいのですが、それらの成果は2005年度から2010年度までで約11億2700万円にもなり、経費節減につながっています。今年度も約6300万円の経費削減の見込みで、新年度も約3850万円の削減の予定になっています。従事員の皆さんの御協力に感謝するとともに、事業部の努力は大きく評価したいというふうに思います。


 また、競輪事業財政調整基金は、2001年度末に約4万7000円の残高しかないという状況で、全国的な傾向から見ても低い水準になっていましたが、旧日本自転車振興会・現JKAの1号、2号交付金の3分の1についての還付制度などを利用して、競輪事業財政調整基金の2011年度末の残高は約15億2500万円になり、還付制度のために2006年度から新たにつくった競輪事業施設等整備基金は、2011年度末残高約39億6900万円と、大きく改善が図られています。


 しかし、花月園競輪、大津琵琶湖競輪、観音寺競輪などが廃止に追い込まれている状況や、ごく最近も、京都府の向日町競輪などが廃止なるのではと報道されていることや、たちかわ競輪でも普通開催などでは毎年売り上げが減少しています。今後も決定的な売り上げ増の見込める施策がなく、景気の低迷、レジャーの多様化、ファンの固定化・高齢化による先細りで、競輪離れがさらに加速する可能性も否定できません。グランプリや特別競輪の開催のない年は、予想もつかないほどに収益が落ち込み、赤字に転落するということも考えられないわけではありません。


 他の競輪施行者のように、一般会計から赤字補てんという状態がないように、事業部が取り組んできた経営改革を継続しなければなりませんが、これ以上従事員の皆さんの労働条件が低下しないように努め、競輪事業における入札制度改革や経営改革をさらに進め、JKAへの交付金の大幅減額をありとあらゆる方法、手段で求めていくこと。さらにまた、もし不測の事態として一般財源をつぎ込むような事態も想定外とはせずに、従事員や選手会に迷惑をかけずにソフトランディングできるような方策がまだ万全ではありませんので、いざというときにソフトランディングできるような対策も考慮に入れていくことを求めます。


 私個人としては、競輪依存体質からの脱却を求めて、以前は予算や決算の認定には反対してきましたが、事業部の経営改革努力が大きく評価できることから、2008年度予算から賛成してきました。今回の予算から5か年の競輪場の改修計画がはじまろうとしていますが、財政が厳しい中、約40億円もかけて改修すべきものなのかという考えは正直ありました。しかし、東日本大震災におけるいわき平競輪場取手競輪場の被害状況を見ると、やはり、改修は必要と考えて、今回の予算にも賛成します。


 しかし、改修の費用が安くなるように最大限の努力をしたり、競輪の選手宿舎などの競輪施設の今後の有効利用について真剣に検討していただくように、そして、一般会計に一定程度の繰り入れができるように要望します。


※全会一致で可決。


立川市議会では、予算や決算の特別委員会で質問の時間制限がおこなわれてから、競輪事業への質問が激減しました。大体の会派が一般会計でほとんど時間を使ってしまい、特別会計に入るころには質問時間を残していないからです。これも質問の時間制限制の弊害の一つです。予算特別委員会は年に5日間、決算特別委員会は年に4日間、この日にちを少し増やせばもっと審査ができるのですが…。



ここから、競輪の話を少々。


立川競輪の車券売上のピークは1992年度で、907億2645万5100円、競輪事業会計からの一般会計への繰出金のピークは1989年度で、78億1482万4000円。私が初当選させてもらった1998年度でも車券売上が573億4629万9500円で、一般会計への繰出金が44億5000円もありました。まさに、少し前までは“打ち出の小槌”だったと言っても過言ではありませんでした。

(今や 「♪ そんな時代も〜 あ〜あ〜ったねと ♪」という感じですが…。)

しかし、景気の低迷・レジャーの多様化・ファンの高齢化による先細りで売り上げが激減している中、立川競輪発祥で毎年立川で開催していた競輪グランプリが平塚と京王閣競輪との持ち回りになり、3年に一度しか開催できなくなってから、さらに売り上げが減ってしまい、2005年度から2011年度までの競輪事業会計からの一般会計への繰出金は7年連続して1000万円という状況が続き、来年度予算(2012年度)でも1000万円しか繰り出せないことになっています。

この間、立川市では、競輪事業で、

(1)弾力的な人員配置などによる人件費の削減、
(2)入札制度の改革による仕様書見直しや複数年契約の実施などによる委託費の削減や
(3)電力自由化による契約の見直し(東京電力からPPSに契約変更)、
(4)併売、場間場外などの販売経路の拡充やKドリームスの創設

などの経営努力や経営改革を着実に進めて、競輪開催における損益分岐点を引き下げ、普通開催の赤字幅を大幅に圧縮してきました。


そうい言った努力がめざましいということで、上記の賛成討論のように、2008年度の競輪予算から賛成しています。


2010年度時点の普通開催(グレードの低いレース)1日の売り上げの損益分岐点は、2億400万円。つまり、1日に2億400万円の車券が売れるとトントンで赤字にはなりませんが、2010年度の普通開催の売り上げは平均で約1億9000万円。つまり、普通開催の1日当たりの赤字は約1400万円。

2010年度の普通開催は48日ですから、その赤字額は約6億7200万円にもなります。2010年度には立川で競輪グランプリを開催しましたので、その売り上げで、普通開催の赤字を穴埋めしていることになります。


今後も厳しい状況が続きそうです。


【競輪事業のしくみ お金の流れ】

競輪における車券売上金については、売上金の75%が的中車券に払い戻され、残りの25%の内から財団法人JKA(公営競技の競輪とオートレースを統括する経済産業省管轄の財団法人)に交付金(売り上げの3.1% 還付金制度があるので実質2.1%)を上納し、競技会委託料、全国競輪施行者協議会負担金、地方公共団体金融機構納付金(今後廃止の方向)などを出しています。残ったお金が競輪施行自治体の収益(粗利)になります。


立川市の場合、売り上げに対する各支出割合は、JKA 交付金3.2% ・競技会委託料1.5%・全輪協負担金1% ・金融機構納付金1%。)


その収益から競輪開催費(競輪選手への賞金、市の職員や競輪場の従事員への人件費、外部委託費、広報宣伝費や光熱費など)を差し引き、さらに残ったお金が競輪施行自治体の競輪事業財政調整基金などに積み立てられたり、一般会計に繰り入れられて、公共施設などの整備・充実などに使われることになります。


競輪事業の低迷から売り上げが激減し、JKA交付金(3.1%=上納金)がネックになって、赤字の競輪施行自治体が増え、最近で言うと、花月園競輪、大津びわ湖競輪、観音寺競輪などが廃止になりました。


これでは競輪事業が立ち行かなくなるということで、現在、「自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案」が国会に提出されていて、これが可決されると来年度からJKA交付金が3.1%から1.9%になるということになります。



【関連リンク】

立川競輪事業の将来像について


立川競輪場施設改修基本計画(案)



◆五十嵐けんのホームページ