2012年度立川市一般会計予算への反対討論

時間制限はつらいよ

今日で5間続いた市議会の予算特別委員会が終了しました。

この間、「議会改革」称して質問時間の制限が加えられたり、私のような1人会派でも3人以上のグループを組めば、市長に対する代表質問ができたのですが、グループを組むなら討論などを統一しろとかいうことで(それでは会派を組むことと一緒なんですが)、代表質問ができなくなってしまいました。代表質問をした会派には予算特別委員会で代表質問をした議員の時間も振り分けられますが、一人会派にはもちろんありません。

さらに今回は質問時間と答弁時間をあわせた時間制を試行するとかで、5日間での議員1人当たりの質問と答弁時間の合計は1時間。つまり、1日の質問と答弁の込みの時間は12分しかありません(時間の使い方は議員によって自由)。これでは答弁の下手な課長に質問したら(聞いたことにきちんと答えず説明が長い課長など)、時間を食ってしまい、時間が足りないというのが実感です。

昔の状態と比べると、野党の委員の追及を簡単にかわすことができ、行政側は非常に楽になっているように感じます。

議会改革=質問時間制では、ほくそ笑むの市長と行政の幹部だけではないでしょうか…?

私のような少数会派の議員にはこの質問時間制は、寅さんじゃありませんが、とても「つらいよ」ということになってます。


修正案は議論もなしにあっさり否決

共産党の予算特別委員の3人(浅川・堀江・永元議員)と大沢議員と私で、一般会計予算と国民健康保険事業予算に修正案を出しましたが、あっさり否決されてしまいました。

内容については、不急のデッキ整備(国営公園南線横断デッキ整備)やムダな新庁舎建設記念誌制作事業を削り、財政調整基金からのお金を補てんする形で、4億円もの国民健康保険料の大幅値上げをやめさせる内容。


以下は、私の一般会計予算への反対討論です。



2012年度立川市一般会計予算への反対討論 


 私は、議案第 2号、2012年度立川市一般会計予算に反対の立場で討論をいたします。


 格差社会の拡大、貧困層の増大という日本の全国的な社会情勢の中で、昨年3月11日に起こった未曾有の東日本大震災福島第一原発の大事故により、依然として景気の低迷と雇用情勢の厳しさが続いています。

 
 立川市でも、立川市民1人当たりの給与収入額は、2011年度はほんの少しだけ(2675円)増えてはいるものの、2009年度と比べて2010年度では約14万7,000円も減っており、2000年度と比べると約40万7000円も減少しています。生活保護世帯も、2010年度の3573世帯、4894人から、さらにふえて3673世帯、5030人に増加し、生活保護率28.0パーミルと、東京26市の中でも依然として一番高いという状況が続いています。


 立川市民の生活がより一層苦しくなっていることがうかがえますが、このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は、拡大する格差を是正し、貧困に歯どめをかけて、貧困の連鎖を断ち切るために可能な限りのセーフティネットを張ることであり、少子高齢化社会の中で、無駄を削って地方自治体からの社会保障の再構築をしていくことです。特に、新年度に向けて、引き続き、生活支援と雇用、労働・就労支援の強化が必要であると思います。


 苦しい財政事情の中で、評価できる面もありました。
子どもたちを守るための放射線関連測定、さらに予備費で、保育園や学校給食の食材の放射性物質を測定する機器を整備しようとしていること。
談合事件以降の2004年度から2010年度までの行財政改革の取り組みで、7年連続して一番の削減効果となった入札改革を、一部の緩和があるにしても、その改革の方向性を堅持していること。
競輪場から始まり、53の公共施設に広がった電力供給契約の見直しを堅持し、さらに市役所本庁舎も加えたこと。
市長、副市長、教育長の給与の削減。
成果を上げている地域経済活性化推進員による創業や就労などの相談事業の継続。
生活保護ケースワーカーの増員。
介護サービス利用料負担軽減事業の予算増額。
民営化を除く保育園の待機児解消策。
学童保育待機児解消策とサマー学童保育所の運営。
生ごみ分別資源化モデル事業の継続、事業系ごみの削減などのごみ減量策の充実。
住宅用太陽エネルギー利用機器設置費補助事業の予算増額。
学校図書館支援員事業の継続や中学校への学校図書館システムの導入。
家具転倒防止器具の助成事業。
ジェネリック差額通知の発送 などです。


 しかし、私がかねてから、拙速で安易な民営化であると反対してきた保育園の民営化を進めようとしていること、特に西砂保育園の民営化の検証が不十分なまま、見影橋保育園の民営化を推し進めようとしていることや、地区図書館2館の試行的な指定管理者制度の導入に続き、残りの地区図書館にさらに指定管理者制度を導入しようとしていることは、どうしても同意できません。
 少なくとも、保育園の民営化に際しては引き続き保護者の声を今までと同様に真摯に受け止め、丁寧に聞いていくことを求めます。また、地区図書館への指定管理者制度を導入については残りの6館を一遍に推し進めず、段階的におこなうことを要望します。


 加えて、2008年度の2億7,000万円、2010年度の1億6,000万円もの値上げに続き、受益者負担の適正化と称して、約4億円もの国民健康保険料の大幅な値上げをしようとしていること、当該障がい者に事前の説明もないままでの5・6級の障害者手当の廃止は、激変緩和措置をとったとしても納得できるものではありません。


 さらに、不況下に苦しむ家庭、家計を直撃する家庭ごみの有料化方針は税金の二重取りであり、拡大生産者責任を曖昧にし、ごみの発生抑制を後退させるもので断じて許すわけにはいきません。燃やせるゴミの減量は、事業系ごみのさらなる削減と徹底した分別によるごみ減量、家庭ごみの3割から4割を占める生ごみをHDM菌による生ごみ減容化システムにより処理することで十分可能です。家庭ごみの有料化方針は撤回すべきです。


 また、不急不要で、回遊性という点からも効果が非常に薄い立川駅前歩道立体化事業は凍結すべきだったものと考えます。今年度に整備した立川駅南口駅前大通り、市道1級23号線の東西横断デッキも歩行者が非常に少なく、新年度の国営公園南線横断デッキ整備も歩行者が多くなるとは思えないことから緊急性はありません。


 さらに、費用対効果が薄く、個人情報保護の点で議論が分かれる住基ネットワークシステムへの支出や、安全確認が不十分なエコセメント化事業への支出も同意できません。


 さらにまた、「苦渋の選択」といって、国保の保険料を値上げする一方で、新庁舎建設記念誌制作事業に400万円をかけるのは「もったいない」としか言いようがありません。


 私は、経営戦略プランについて、すべてに反対するものではありませんが、厳しい市民生活をかんがみて、福祉分野の見直しは慎重にすべきと考え、保育園の民営化や図書館への指定管理者制度の導入を、市民や現場職員の理解なしに強引に進めることに対しては、市民の立場に立って反対していく所存です。


 以上の理由により、総合的に見て、2012年度一般会計予算には反対いたしますが、市民の生活を守り、希望を持って生活できる立川をつくるために、高齢者、障がい者、子どもに優しい、温かみのある施策をとること、でき得る限りのセーフティネットを張り、格差を是正し、公平な社会を目指していただけるように要望します。


 また、原子力災害を含めた防災・減災対策の見直しや、子どもたちのための放射能防護対策や、脱原発を目指しての自然エネルギーへのシフトを求めるとともに、ずさんな「安全対策」しか持たず原発の大事故を引き起こし、立川の市政運営に大きな負担をもたらした東京電力に対して、きちんとした賠償請求をおこなうとともに、この不況下での大幅な電気料金値上げをしないように清水市長が本気で求めていっていただけるように要望します。


以上で、反対の討論を終わります。


【賛成】
民主・市民フォーラム、公明党自民党、安進会

【反対】
共産党生活者ネットワーク、みどり立川、市民の党(五十嵐)

上記のように一般会計予算は賛成多数で可決されました。