被害金額 1億1438万6330円 振り込め詐欺への具体的な対策が必要

少し前に、立川市の生活安全課に問い合わせをして、ここ数年の立川警察署管内(立川市国立市)の振り込め詐欺の被害状況を調べてもらいました。

立川警察署管内振り込め詐欺の被害状況 (2008〜2011年)


2008年 被害件数 65件 被害金額 1億221万5829円
2009年 被害件数 28件 被害金額  3873万7617円
2010年 被害件数 24件 被害金額  5318万5600円
2011年 被害件数 38件 被害金額 1億1438万6330円


2011年の被害者の年齢
50歳代 3人、 60歳代 2人、 70歳代 21人、 80歳代 11人、 90歳代 1人


ここ数年でまた被害件数が増えはじめ、昨年は38件。被害件数は2008年の65件がピークだそうですが、昨年の被害金額はそのピーク時を上回る1億1438万6330円。被害金額は平均で一人の被害者につき300万円を上回っています。

この資料をいただいた時に、担当の課長に立川市振り込め詐欺対策の充実をお願いしましたが、具体的には下記のような対策が必要だと思います。


(1) 広報、ホームページ、市の各施設などで巧妙化する新たな詐欺の手口を紹介し、周知徹底、撃退策の啓発をする。特に市の公共施設に掲示をする。


(2) 民生委員、ケアマネジャーなどを通じたお年寄りへのきめ細かい周知をしていく。


(3) 警察からの最新詐欺の手口の情報などを病院や福祉施設、ゲートボール場などの御高齢の方々がいるところに届ける。


(4) 電話もしくは電話周辺に張るような注意ステッカーやシールなど(例えば、すぐ振り込まない、一人で振り込まない、身近な人か警察や行政の相談窓口に相談するという3箇条のようなもののシール、ステッカー)を配布して希望者に配る。


(5) 市内の郵便局、金融機関のATMコーナーに注意を呼びかける張り紙をしてもらう。また、窓口などは声かけを徹底してもらう。(しているところもありますが、さらに目立つ所に掲示してもらうなど充実してもらう) また、郵便局とか金融機関の近くの電柱などに振り込め詐欺に御用心というポスターなどを張っておく。


(6) 今まで市が振り込め詐欺対策としてやってきたことを充実する。


(7) 個人情報保護の徹底をする。


(8) 市が以前出していた「悪徳商法撃退事業」の補助金を復活させる。(下の「2006年3月予算特別委員会での五十嵐の質疑の抜粋(2006年3月1日)」と「東京新聞2007年7月18日の記事」を参照)

下記は、少し前ですが、2005年の12月議会での私の一般質問と2006年3月の予算特別委員会での私の質疑の抜粋です。最近はこのような質問はしていませんでしたが、今後は議会でもまた振り込め詐欺対策を求めていきたいと思います。


振り込め詐欺・なりすまし詐欺などのきめ細かい防犯対策について
(2005年12月議会 一般質問2005年12月7日)からの抜粋


◆3番(五十嵐けん君) 大きな3点目の質問をいたします。
 振り込め詐欺・なりすまし詐欺などのきめ細かい防犯対策についてお聞きしたいと思います。
 東京都の広報によると、他の犯罪が減少傾向にある中、振り込め詐欺などが被害も後を絶たず、その手口も悪質・巧妙化しており、高齢者や女性がその標的になっているとのことです。
 ことしの1月から10月までの都内の被害件数は約2,200件、被害額は約35億円だそうです。立川署管内においても、昨年の35件、被害額6,900万円になっており、ことしの1月から10月までも32件の被害届が受理されています。
 私も実は、このことは他人事だと思っていたのですが、私の実家に、私が豊島区で痴漢をしたという振り込め詐欺が(「あり得るよ」と呼ぶ者あり)−−失礼なこと言わないでください、何があり得るですか。あり得ないのですよ。そういう電話がかかってきまして、動転したうちの母親が、私の携帯の番号をそちらの悪どもに教えた関係で、その携帯にずっと嫌がらせの電話がかかってきたのです。それは、私と連絡をとらせないためのもの。何だかんだいってやっと連絡がとれて、そうではないということを確認しまして事なきを得ました。しかし、実際にあるのだなと思いつつ。
 これに後日談がございまして、市長、その振り込め詐欺団は、私の実家の電話を勝手にNTTに問い合わせて非通知電話にしていたのです。要するに、非通知でかかってくれば、私、携帯なんかでも、皆さんでもそうだと思うのですけれども、取らない場合がありますよね。何回もかかってくる場合は取る場合はありますけれども。そういう意味で、非常に巧妙になっている。交通事故の示談や中絶の話、さらに、出張に行っているところを調べておいて、海外で事故に遭った、医者は医療ミスをした、そういった、頭がいい人が、きっとずる賢いやつがシナリオを書いているのでしょうけれども、そういうことが本当に悪質になっているわけです。
 そういったことをかんがみると、立川市でも、例えば、市民生活部生活安全課、総合政策部消費生活センター、福祉保健部高齢福祉課という垣根を解いていただいて、連携のとれた、この多発する詐欺を未然に防ぐ対策をやっていただきたいということで、私七つの施策を考えてきました。
 一つは、広報、ホームページ、市の各施設などで巧妙化する新たな詐欺の手口を紹介し、周知徹底、撃退策の啓発をする。
 二つ目は、民生委員、ケアマネジャーなどを通じたお年寄りへのきめ細かい周知、また場合によっては、ひとり暮らしのお年寄りに、いざというときに相談相手になってもらうようにケアマネジャーとか民生委員にしてもらうですとか、3番目には、警察からの最新詐欺の手口の情報などを病院や福祉施設、ゲートボール場など、そういっただまされやすいとされるような御高齢の方々がいるところに届ける。
 四つ目は、電話もしくは電話周辺に張るような注意ステッカー、例えば、すぐ振り込まない、一人で振り込まない、身近な人か警察や行政の相談窓口に相談するという3箇条のようなもののシール、ステッカーを配布して希望者に配る。
 5点目は、市内の郵便局、金融機関のATMコーナーに注意を呼びかける張り紙をしてもらう。また、窓口などは声かけを徹底してもらう。しているところもあるのですけれども、私、何件か見たのですけれども、ないところもあるのです。例えば、市役所のATMにはないのです。だから、そういうことは徹底してもらう。また、例えば、郵便局とか金融機関の電柱によく、子どもの痴漢とかストーカーに気をつけろと張ってありますよね。ああいうのを振り込め詐欺に御用心という、そういうのをやはり張っておく必要があるのではないか。
 6点目は、今までやってきたこと、市も大分いろいろなことをやってきてはいますので、そのことをもっと充実していただく。
 7点目は、個人情報保護の徹底ということですけれども、こういう続出する悪質な振り込め詐欺に市長は率直にどのようにお感じになって、今、私が提案した7点、余りお金かからない方法だと思いますので、即実施に移していただきたいのですが、そういったお考えはあるのかどうか、お示し願いたいと思います。


◎市長(青木久君) 次に、振り込め詐欺・なりすまし詐欺などの犯罪は、立川警察署管内では15年度で13件、被害額は約1,400万円、16年度では28件6,700万円、17年度では11月までで30件5,100万円と増加傾向にあり、内容も巧妙になってきております。
 市民の方から相談等があった場合は、市民相談や消費生活センターが窓口となって、内容に即したきめ細かい対応に努めるとともに、受けた相談が犯罪行為である場合は警察に届け出ることや、法律相談等の専門相談を紹介しております。
 また、最近では市の職員を装って、社員の健康診断に必要として個人情報を照会するようなことや、滞納があるので至急振り込むように電話で要求する事件なども発生しております。このことは電話等で問い合わせすることはあり得ないので、慎重に対応するよう指導したほか、広報たちかわや勤労市民共済会の会報に注意を呼びかける記事を掲載するなど、関係各課・機関とも連携して取り組んでおります。
 これからもこうした情報が危機管理対策室に寄せられ、的確な対応がとれるように周知徹底を図るとともに、関係各課・機関と連携してきめ細かい対応に努めてまいりたい、そのように考えております。


◎市民生活部長(川嶋幸夫君) 振り込め詐欺に関連いたしまして、大きく七つほど貴重な提案がございました。私どもの方でも、手元に持ってきてございますが、こういうようなシールが警察の方から配られていることは承知してございます。ただ、警察の方も部数に限りがありますので、すべてに賄うことができないという状況でございますので、これにつきましては、また警察あるいは関係機関等と調整いたしまして、具体的に何かできるようなことがありましたら取り組んでまいりたいと思っております。
 これから市の封筒等にも警察の文書を記載したようなことを検討してまいりたいと考えてございまして、私どもだけではなく、全庁的にこういうような安全対策については取り計らってまいりたいというふうに考えてございます。


◆3番(五十嵐けん君) 次に、振り込め詐欺・なりすまし詐欺などのきめ細かい防犯対策。
 今、抽象的にはいろいろやりますというお話だったみたいですけれども、私はあくまでも具体的に7点要望していますから、その点について、市長、どうなのでしょうか。余りお金かからないのですよね。銀行に市長がお頼みするですとか、担当の方がお頼みするということがあったりとか、電信柱にそういう掲示標識をつけるとしたら多少お金はかかりますけれども、そんな予算というわけでもありません。
 今、例えば、防犯には立川市は力を入れていまして、パトロールですとか監視カメラである防犯カメラもいっぱいつけているわけです。そういったところは一生懸命やるけれども、こういう詐欺というところの面ではそんなにお金をかけられないなというふうに正直思っているのかなとも思えてしまうので、もう一度私が聞いた具体策について、もちろんステッカーのシールにしては、関係機関と調整していただいて、足りないものは立川市独自でつくってやっていただければいいと思います。封筒に関してもそういう啓発するような封筒をするというのは一石二鳥ですし、便利ですから、ぜひやっていただきたい。私が提案した具体的な7点についてどうなのか、もう一度お示し願いたいと思います。


◎市長(青木久君) また、振り込め詐欺の問題につきましてはいろいろ御指摘もございましたが、これは予防しなければいけないことでございますので、よく連絡をし合って対策を十分講じていきたいと、このように思っています。


◎市民生活部長(川嶋幸夫君) 先ほど七つほどの紹介がございましたが、まず1点目の広報等への紹介ですが、私どもも既に7月25日ですとかことしの1月にはこういう形で、事件等が発生した場合には速やかに広報してございます。(「ホームページにはないですよね」と呼ぶ者あり)−−ホームページにはございません。あるいは市民共済会の会報にもこういうのは載っています。こういう形で逐次やってございますので、今後ともそういう形で努めてまいりたいと考えてございます。
 民生委員、ケアマネジャー等を使った活用でございますが、これはこれから防災の方で弱者対策という形で、こういう方たちの力をかりてまず情報収集等に当たっていくわけですので、そういうときにあわせて展開をしてまいりたいと考えてございます。
 病院や高齢者の方々が集まる場所への周知、啓発につきましても、関係機関の方に具体的に取り計らっていきたいと考えてございますし、市役所の前にありますATMの掲示につきましては(「市役所だけじゃなくて市内の」と呼ぶ者あり)−−だから、市役所の前にあるATMを初めとして市内各所のATMへのステッカーの貼付等についても銀行、金融機関の方にも働きかけてまいりたいと考えてございます。
 電話等については、先ほどお話ししたところでございます。



2006年3月 予算特別委員会での五十嵐の質疑の抜粋(2006年3月1日)


◆委員(五十嵐けん君)  最後に、悪徳商法撃退事業ということで、77万5,000円というふうにありますが、私もこの事業いろいろな皆さんの御努力で、市内で数カ所にわたってやっているということは知っておりまして、たしかホームページでメディアプレーヤーというので映像を見られますが、それでも見たことがあって、こういうのはもっともっとやっていただきたいと。
 前に、一般質問で振り込め詐欺に対して、やはりきめ細かい対策をとっていただきたいということを言いましたけれども、まさにそういったことを実演して、こういうのがあるんだよと、こういう詐欺の手口があるんだというのを劇としてやっているというところで、これ概要を見ますと参加市民数は400人を予定というふうにありますけれども、何カ所でやられるのか。
 また、ニュースなんか見ますと、ある小泉チルドレンの東京都選出の国会議員のお母様も、振り込め詐欺にひっかかってしまった、こういう言い方よくないんですけれども、そういうニュースも出ていましたので。最近、私の知り合いに聞いても、そういう電話がかかってきたという人が多いですから、さらに充実していっていただきたいと思うんですが、この支援の仕方というのは77万5,000円ということで、もう少しつけてもいいのではないかというふうに、時宜にかなっていますので思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。


◎女性総合センター長(武藤富重君) それから、悪徳商法撃退事業でございますけれども、これは今、委員御指摘のように17年度から大変年間11回ぐらい東京3弁護士会多摩支部の有志の皆さんが中心になって、市民劇団だとか社会福祉協議会の協力を得て11回開催してございますけれども、18年度は内容をさらに充実して、お客さんというか参加者を多くするため、落語家等を招いて内容を改めて充実強化して実施するということですので、18年度から補助金を支出する予定でございますけれども、予定している回数は10カ所で10回ということでございます。
 それから、77万5,000円が低いのではないかということですが、これ補助金ですのでもともとボランティアでやっていた事業ですので、これ初めて18年度市が補助金を出すということですので、かかる経費も実行委員会の方では落語家の経費が大体100万円ぐらいだと。それから市民劇団の謝礼が10万円ぐらいだと、それから弁護士さんの講演もあるんですが、これはあくまでもボランティアですけれども、市の報酬基準なんかを参考にすると45万円ぐらいかかるのかなということで、おおむね大体2分の1ぐらいの補助にはなるんではないかということを考えておりますので、これで足りるというふうに私どもは考えております。
 以上です。


◆委員(五十嵐けん君) 最後の悪徳商法撃退事業についてなんですけれども、大体概要はわかりまして、この間、やはり詐欺的な悪徳商法というのは毎年毎年続いていますので、この新年度で行う10カ所10回、これはやはり周知も徹底していただいて、補助金を出す上で成果が上がるようにしていただきたいと。その周知的には市はどのくらい、広報で周知したりするんでしょうけれども、どのように考えているのかだけお答え願えればというふうに思います。


◎女性総合センター長(武藤富重君) 悪徳商法撃退事業の周知の方法ですけれども、まず広報等で掲載するのは当然ですけれども、一番被害の多いのは高齢者が中心でありますので、高齢者と関係する民生員さんだとか、社会福祉協議会、それから介護事業者さん、そういった高齢者を取り巻く人たちに、特にビラ等をお配りして周知をしていただくのが一番有効かなというふうに考えてございます。
 以上でございます。

悪質商法 撃退しよう 多摩地区でキャラバン 寸劇などで手口紹介
(2007年7月18日東京新聞


 振り込め詐欺悪質商法の被害を防ごうと、多摩地区の市民劇団や弁護士らが、寸劇や 講話で手口と対策を紹介する「悪質商法撃退キャラバン」の活動が広がりを見せている。 二年前に立川市で始まったキャラバンはこれまで市内で十五回を数え、今年はさらに西東 京、青梅、三鷹、町田市の四カ所でも初のキャラバンを計画。二十一日の西東京市を皮切りに、来年二月の町田市まで隔月で開く。(服部展和)
 キャラバンが始まったのは二〇〇五年。悪質商法対策の講義を開いていた、東京三弁護 士会多摩支部の村田光男弁護士らが実行委員会を組織し、多摩地区を拠点に活動する市民 劇団に呼び掛けたのがきっかけだった。
 弁護士と警察官による講話に加え、迫真の演技で手口を紹介する寸劇は「分かりやすい 」と好評。昨年から中央大学落語研究会や消費生活相談員も参加、市も補助金を出すなど支援を始めた。
 多様化する手口に対応できるよう、寸劇や講話の内容も工夫。寸劇の脚本は現在、振り込め詐欺(交通事故、医療過誤)、リフォーム詐欺の三パターンを用意している。
 こうした活動が発展し、同弁護士会多摩支部が、立川市以外の四カ所でのキャラバンを 初めて企画した。内容は寸劇と落語、弁護士、消費生活相談員の講話。
 ただ、村田弁護士によると、振り込め詐欺の被害発生はうなぎ上りの状況。例えば立川署管内(立川、国立市)では、〇五年の被害総額が約六千七百万円だったのに対し、昨年は約一億二千万円と倍増した。
 村田弁護士は「誰にも相談できない人間関係の希薄さが被害増加の背景にあり、普段から地域のつながりを持つことも大切」と指摘。振り込め詐欺などに直面した場合、「まずは身近な人に相談し、次に最寄りの消費生活センターや警察などに相談を」とアドバイスする。また、「立川市のように、市民の取り組みを行政が支援する形を、多摩地区全体に広げたい」と話している。
 キャラバンはいずれも入場無料。


立川市悪質商法撃退事業補助金は、2006年、2007年度、2008年度の3年間(年間の補助金77万5000円)に渡って、上記の新聞にあるような「悪質商法撃退キャラバン」などの事業に出されていましたが、清水市長になって2009年度から廃止になりました。結果として、振り込め詐欺が増えてしまっているという現状があります。