改めて考え直そう!! 保育園の民営化


前のブログで、「議案第95号 建物の譲与について 」と「議案第100号 立川市保育所設置条例の一部を改正する条例 」について以下のようにご報告しました。

議案95号は、来年の4月1日から民営化する予定の市立西砂保育園の建物を民営化移行園を引き受ける法人に譲与するもの、議案100号は来年の4月1日から市立西砂保育園を公立保育園から外すものです。


両議案とも、民主党公明党自民党の会派などの賛成多数で残念ながら可決してしまいました。五十嵐は今までこのブログなどで触れてきましたが、立川市のコスト削減に重きを置いた拙速な保育園の民営化には反対してきましたので、反対を貫きました。


賛否は以下のとおりです。


【反対】 市民の党(五十嵐) みどり立川(大沢) 日本共産党(4人)


【賛成】 民主・市民フォーラム(7人) 公明党(7人) たちかわ自民党(6人) 立川・生活者ネットワーク(1人) 安進会(1人)


立川市の保育園の民営化計画は以下に示すように、子どもたちの立場に立ったものではなく、いろいろな問題点を含んでいると思います。

1、根本的にコスト削減に重きを置き、市長が強く主張している職員削減が主な目的であること。
2、拙速に進められた感が否めないこと。(※1)
3、市立西砂保育園の民営化について、保護者の“おおむねの合意”を前提としながらも、保護者たちからの民営化方針の見直しを求める声は聞き入れられず、最終的には“ゴリ押し的”、“なし崩し的”にこの民営化が進められたこと。(※2)
4、とりあえず11園ある公立保育園のうち5園を民営化しようとしているが、基幹園、アンテナ園、保育の質を保ち、良質な保育をリードしていく園として、最終的に公立保育園をいくつ残していくかというグランドデザインが不明確なこと。


※1
ここでは、詳細を示しませんが、結果的に市の監督ミスがあり、来年の4月1日から分園30名の定員を増やしてスタートするはずでしたが、分園の建設が遅れ、分園の30名の保育がスタートできるのが6月になってしまって、大混乱を引き起こす羽目に陥っています。

※2
市は民営化などに関する市民説明会や懇談会などを多く開いて、「全国一丁寧な民営化をしている」と豪語していますが、最終的には「何々○○ですから御理解ください」と言って、結局は保護者の切実な願いや意見を退けてきていました。ともすると、そういう説明会の持ち方やあり方は、保護者の意見を一方的に聞いたという“アリバイづくり”と言っても過言ではありません。(ちなみに、私自身は、ほとんどの関連する説明会を直接傍聴しています。)

ということで、この2議案には反対しました。

以下が反対討論です。

議案第95号「建物の譲与について」に反対討論


私は、議案第95号 「建物の譲与について」 に反対の立場で討論いたします。


 まず、保育に市場主義を持ち込み、コスト論を優先した安易な保育園の民営化よりも、本当の税金の無駄遣いをやめさせて、保育に公的負担をふやして待機児解消をすることが必要と考え、今回市が推し進めている拙速な公立保育園の民営化方針には根本的に反対してきました。


 公立保育園の民営化方針が出て以来、保育園の民営化方針についての市の説明会に参加している保護者からは、反対や見直しを求める声が続出し、突然の保育園5園の民営化方針に不安や疑問を抱く保護者でつくられた立川市の子育てを考える保育連絡会からは、
   1、今回の公立保育園民営化計画については見直すこと
   2、待機児解消のために認可保育園の新設、増設を進めること
   3、待機児童の解消や保育の質向上のために必要な予算措置を行うとともに、国と東京都に対して財源確保を求めること
−−という3項目を内容とする立川市立保育園の民営化見直しを求める署名は、1万筆を超えて提出されました。


 西砂保育園の民営化のための分園用地を先行取得することにあたって、西砂保育園の保護者からは、
「市立保育園の民営化政策そのものは行政決定であるとして、民営化による子どもへの影響や民営化後の保育環境がどうなっていくかという点を不安に考える私たちの民営化計画そのものを見直す要請には耳を傾けてもらえない状況です。
 このような状況の中、市は、西砂保育園民営化後の定員拡大のための分園用地を保護者の合意のないまま取得しようとしています。市は、分園用地取得に当たっては、保護者のおおむねの合意を得た段階で行うとしていますが、市が言う保護者のおおむねの合意とは、保護者説明会を11回開いたことで、保護者のおおむねの合意が得られたと判断しようとしています。この判断は、保護者側の本意ではありません。
 そこで、私たち西砂保育園の民営化に関する分園用地取得について、以下の点を要請しますと」、

   1、民営化前提の分園用地取得に当たっては、西砂保育園の保護者一人一人に対して民営化前提で分園用地を取得してもよいのかどうか、意思表示を求めること
   2、1で保護者側の分園用地を取得してもよいという意思表示が9割以上得られない限り、民営化前提の分園用地は取得しないこと
−−とする西砂保育園用地取得に関する要請書の提出を受けたにもかかわらず、市は、その要請を無視し、実際には保護者の理解が得られた状況にないにもかかわらず一定の理解を得たと一方的に判断して、結局最終的には保護者のおおむねの合意がないまま、土地開発公社を通じて分園用地を取得しました。


 市は、西砂保育園の民営化について、少なくとも保護者と徹底的な話し合いを行い、おおむねの合意がない限り、この民営化方針を強引に進めるべきではありませんし、このような当該保護者の要請や意見を無視し、気持ちをないがしろにするような強引な進め方は、すべきではありませんでした。


 そもそも、子どもたちのために、『保育の質』を維持しながら、保育サービスを充実、向上させるためには、公立、私立を問わず、関連予算をふやすことが必要です。保育への公的負担は出産から学齢期までの一時的なものですが、働く母親はそれよりはるかに長い期間、税金や社会保険料を国や自治体に還元し続けますから、決してコストがかかりすぎているとは言えません。


 つまり、保育への公的負担は、現状でも税収増という形で財政に貢献し、さらに社会保険料支払いという形で社会的にも貢献しています。決して、国、地方自治体の財政悪化を招いているのではありません。


 さらに、現状の公的負担額を増やし、待機児童問題に示される保育需要や供給量の少なさから顕在化していない潜在的な保育需要に対応できるようになれば、その効果をさらに発揮することになります。女性の就労を支援するという意味でも、男女共同参画社会の推進とい面でも、さらには少子化対策としても有効なものです。端的に言うと、保護者が安心できる「コスト」をかけた保育所の整備は女性の労働参加を促進し、減少する日本の労働力人口を維持し、少子化の進行を抑制して出生率を上昇させるということにつながるのです。


 保育への公的負担を増やしていくことは長期的に見れば、その投資に十分に見合うものになります。


 保護者から不安や反対の声が多い安易で拙速な保育園の民営化よりも、保育への公的負担を増やして待機児解消をはかるべきです。公立保育園を基幹園、アンテナ園として各地域の中核保育園として残して、私立保育園と競合し、共存共栄による立川の保育の向上を目指し、各地地域で、保護者の希望によって、その子どもたちが公立保育園にも私立保育園にも入れるという選択肢を維持すべきだと考えます。


 西砂地域から公立保育園をなくすべきではありません。よって、この議案第95号には反対するとともに、今後の保育園の民営化方針を白紙撤回することを求めます。


議案第100号 立川市保育所設置条例の一部を改正する条例 についてついても同じ理由で反対しました。

来年以降も、安上がりな保育ではなく、子どもたちの立場に立った、命を育み、質の高い保育を求めて、保育に公的負担をふやして待機児解消をしていけるように、今後も活動・発言していきます。ご意見・ご要望などをお寄せください。

※写真は清水市長に保護者の代表が『西砂保育園用地取得に関する要請書』を渡すところ。西砂保育園民営化説明会にて