ビッグイシュー(THE BIG ISSUE) バックナンバーも買ってください
暖冬とは言え、朝方など、とても冷える日が続いています。いかかがお過ごしでしょうか。スーパーで買い物などをしていると、賞味期限が来年の日付になっていたり、お正月に向けた商品が並んでいたり、今年も残すところあとわずかになりました。
さて、今日の話題は『ビッグイシュー』。
以前にも取り上げていますが、販売する人がはじめに1冊300円の雑誌『ビッグイシュー』10冊を無料で受け取り、販売した3000円を元手に、その後は1冊140円で仕入れて300円で販売し、差額の160円が収入となるというのが『ビッグイシュー』の仕組みです。
ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として1991年にイギリスのロンドンで始まったものですが、立川駅をはじめとして少し大きい駅の周辺では必ずと言っていいほど販売員の方を見かけるようになりました。
2週間ごとに発売されていますが、私は、立川駅北口の販売員のおじさんから購入しています。買う時に短めの世間話などをするのですが、話を聞くと新しい号の発売日から2〜3日は売れるけど、そのあとの販売数が鈍ってしまうそうです。常連の方が習慣的に買うことが多いので当たり前と言えば当たり前ですが、それゆえにバックナンバーを結構抱えることにもなってしまうようです。
ということで、バックナンバーも購入していただければということで、今日は、少し前に出た号で、良かった記事をご紹介したいと思います。
一つ目は、10月1日付の鉄腕アトムとバカボンのパパが表紙の128号。
手塚治虫さんと赤塚不二夫さんの娘の手塚るみ子さんと赤塚りえ子さんの対談やこの号の特集「日本、若者に住宅がない」が面白く、勉強にもなりました。
「ハウジングプア」とは「貧困ゆえに居住権を侵害されやすい状態」をあらわす概念だそうですが、日本の住宅政策には単身者への補助はほとんどないのが現状。単身者の多くがワーキングプアになり、結婚もままならず、やがて派遣切りなどで住宅を失い、公営住宅は少なく、優先権もないため単身の若者は入れない状況でホームレス化。一方で地方自治体は財政難で公営住宅を減らす状態。最近では立川市でも市営住宅の建て替えの際に120戸から80戸へ減らしています。記事の中にある平山洋介さん(神戸大学大学院教授)のいう住宅政策の発想の転換が必要とつくづく思いました。
2つ目は、10月15日付の芸能界に入っていなかったら看護師になっていたという女優の小雪さんが表紙の129号。
音楽好きの私とってこの号で珠玉だったのは、「サハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族のバンド」であるマリの『ティナリウェン』を紹介する記事です。
マリ語で『砂漠の人々』もしくは『砂漠の男たち』を意味するという『ティナリウェン』は、マリの北部に住むタマシェク民族のバンドで、メンバーたちは私が敬愛する沖縄出身のミュージシャンの喜納昌吉さんの「すべての武器を楽器に」というメッセージを体現しているような存在です。彼らは以前紛争の中でホントに戦っていて、武器(ライフル銃)を楽器(ギター)に持ち替えてメッセージを発しています。
「戦闘の後に残るのは死体の山、音楽は誰の命も奪わない」その言葉に痺れたので、ネットでティナリウェンを検索し、YouTubeで見ると、ベースがジミ・ヘンドリックスみたいに右利き用のベースを左で弾いていて、「砂漠のブルーズ」と言えるその音は超シンプルなんですが相当ソウルを感じました。この記事は私にとっては大収穫の一つでした。
ティナリウェンのページ http://www.tinariwen.com/
3つ目は、最新号で、歌手の綾香さんが表紙の133号です。裏表紙は若き日のボブ・ディラン。この号には『クリスマス・イン・ザ・ハート』というチャリティ・アルバムを出したボブ・ディランの独占スペシャルインタビューが掲載されています。このアルバムの収益金は経済的に苦しんでいる人たちのクリスマス・ディナーを買うために使われるそうです。ボブ・ディランももう68歳。私の印象としてはもう70歳を超えているという感覚があったんですが…。まだ古希を迎えていなかったんですね。この号もお薦めです。
というように、この雑誌は薄いながらも、メジャーな雑誌にはない記事がたくさんあります。「情けはひとのためならず」。バックナンバーも含めて、一度買って、手にとって見てください。
ビッグイシュー(THE BIG ISSUE)日本版のページ http://www.bigissue.jp/
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