いっしょに学び いっしょに育ちあう 学校を

今日は、立川市肢体不自由児・者父母の会 たつのこ』開催の「学校生活における諸問題の公聴会に参加しました。

立川市では、2000年の第9中学校へのエレベーターの設置を皮切りに中学校にエレベーターが設置され(※1)、耐震工事にともなう小中学校の施設のバリアフリー化なども進んできています。また、学校介助員も配置されるなど、まだまだ不十分ながらも、肢体不自由などの障がい児が普通学級に通える体制を整え、子どもたちに障がいがあってもなくても、共に生き共に学べるように努力をしてきました。現在小学校で12名の児童と、中学校で6名の生徒に介助員がついているという状況です。

そういった意味では「先進的」であったとも言えるのですが、予算も少なく、体制の不備から、学校生活の現場では様々な問題も起きており、現在では「先進的」と言える状況でもなくなってきたようです。


今日の公聴会では普通学級に障がいを持つ子どもたちを通わせている親御さんたちの切実な声を聞く機会となりました。


主に、学校介助員の問題の話がありました。

立川市では、介助員の資格としてホームヘルパー2級や教職員免許を持っていることが望ましいという規定もありますが、あくまでも努力規定(資格を持っていれば安心というわけでもありませんが)。時給は1000円弱で、夏休みなどの休みも多く(子どもが休む時も休み)、この学校介助員は専門職としては成立しない現状があります。一応社会保険はありますが、アルバイトに近い状況の不安定雇用なので人材確保も大変。トイレの介助などもあり、原則としては女の子には女性の介助員、男の子には男性の介助員がつくことにならなければいけないのですが、男性はなかなか集まらない状況で、小学校にはエレベーターが設置されていないので、年配の方には移動介助(階段での移動)が大きな負担になり、やめられる方も多いようです。

教員をめざしている若い人は大変良くやってくれているようですが、特に、介助員に対してはきめ細かい研修やその子の障がいに対する理解を深めるための機会や教育などが不十分なため、介助員に子どもの障がいへの理解がなく、情熱もない場合には、下記のようなことが実際にあるとのことです。

介助中に小説を読んだり、
年配で移動介助ができないということでその子は昼休みなどに校庭で遊べなくなったり、
その介助員がさわがしい子どもが嫌いで、そういった子ども(お友達)を介助している子に寄せ付けなかったり、
突然休むことが多かったり、
介助に要を得ずに何度もトイレ介助を失敗させてお漏らしさせたり(保健室に何度も何度も行くことになる)、
介助員もいっしょに給食を食べることになっているのですが、給食を食べているからとトイレに行ってくれなくてお漏らしをさせてしまったり、
子どもを怒りまくったり……、


と、介助員としてふさわしくないと思える人に介助され、ひどい場合は登校できなくなる子もいるとのこと。今年の4月から介助員が3人も変わっているというケースもあるようです。


ここまで来るとやはり構造的な問題であると言わざるを得ません。


小学校にもエレベーターを設置したり、スロープなども複数つけて移動の負担をなくすさらなるバリアフリー化を図るとともに、介助員の待遇や労働条件の改善、介助員との個々の契約ではなくNPOなどの専門事業者から派遣してもらうような体制への整備、支援プログラムの作成とマニュアル化、年に複数回の研修、親・先生・学校・専門家を交えた情報交換、介助員同士の情報交換会の開催などが必要であると痛切に思いました。


特に重要なのは、校長や教員の障がいに対する知識や理解を深めることではないかということ。


今回の親御さんたちの涙交じりの話を聞いて感じたのは、いろいろな問題で学校側にお願いや要望をしているのになかなか解決しくれないという学校側の姿勢の問題です。その話を聞くと、校長や普通学級の先生には、まだまだ、障がい児は本来自分たちが責任を持つ子ではないという意識があると思わざるを得ませんでした。逆にうまくいっているケースは校長を先頭に先生の理解があり、積極的に障がい児受け入れている学校でした(よく学校は校長先生しだいで変わると聞きますが、この問題でもそのようです)。


また、中度の障がいを持つ子で親が付き添わないと通学を許されていないケースの話もあり、何度お願いしても、介助員をつけてくれないとのことです。

親が付き添うことの問題点を、専門家は「①子どもにとって、教育的にも成長にとってもマイナスである。自立の妨げになる。 ②周りの子どもも、その子との関わりが、付き添う親を通したものになり、遠慮したり、子ども同士の率直な関わりが阻害される恐れがある。 ③普通学級の中にありながら、普通でない環境を作りだしているのではないか」と指摘しています。


子どもには子どもが望む教育を受ける権利があります( 国連は「子どもの権利条約」をつくり、日本でも批准しています)。 行政には、子どもにとって最前の利益を保障していく義務があり、その責任があるはずです。子どもや親が望めば誰でも普通学級に通える学校教育のシステムの確立こそが求められているのではないでしょうか。

障がいを持つ子も、持たない子も、いっしょに学びいっしょに育ちあう学校をつくるために、立川市でも早急に改善をしなければならないと感じました。そのためにもガンバリたいと思います。


※1 私が議員になったばかりのころ、障害のある子が通うこととなる第九中学校にエレベーターの設置をしてもらいたいとの請願が提出されました。その請願は議会では慎重・反対の意見があり、「継続」続きでなかなか採択されませんでしたが、当事者やそれを支える人たちの粘り強い運動よって、1999年3月議会で採択。エレベーターは当事者の子どもが中学1年生の2000年の2学期から使用できるようになりました。議員1年生の私にとって、立川市議会で市民運動が政治を動かすことを実感できた初めての経験で、感慨深いものがありました。その後も中学校に障がいのある子どもが進学する中学校にはエレベーターが設置されるようになりました。でもまだ小学校には設置されていません。


【追記】

午後からは教育委員会を傍聴しましたが、案件が少ないためか27〜28分であっけなく終わってしまいました。時間があるなら、教育委員の皆さんにも『たつのこ』の親御さんたちの切実な声に耳を傾けてもらいたいと思うばかりでした。


五十嵐けんのホームページ こちらもご覧ください