住民訴訟の勝訴確定 談合ゼネコンから1億円を取り戻せそうです!!

今日下記のメールが市議会議員に配信されました。

平成21年11月25日
                立川市環境下水道部長 内田勉
立川市議会議員各位
              
市は、多摩川上流処理区の雨水整備の推進を図るため、平成10年度から平成14年度まで東京都新都市建設公社に下水道事業を委託しておりました。この事業に伴い公社が発注した工事を大手建設会社は、談合により不当に高い価格で入札し本市に損害を与えたとして本市住民が提起していた住民訴訟につきましては、平成21年10月23日に最高裁判所が会社側の上告を棄却したことにより、2審判決が確定いたしましたので、本日次のとおり関係会社に損害賠償金の請求をいたしましたのでご報告をいたします。
なお、詳細につきましては12月議会の所管委員会でご報告をさせていただく予定であります。


1、請求内容
大成建設 
63,835,208円及びこれに対する平成14年6月11日から支払い済みまで年5分の割合による金員
飛島建設 
7,482,247円及びこれに対する平成14年6月11日から支払い済みまで年5分の割合による金員

問合せ :立川市環境下水道部下水道工務課
担当課長:清水 電話042-523-2111 (内線370)


以前にもこのブログで触れたことがありますが、簡単に言えば、上記のゼネコン2社が立川市の下水道工事で談合をしていたと裁判で確定したために、その談合で不当につりあげられた建設費を損害額として2社に賠償請求しましたというもの。ちなみにその額は利息分込みで約1億円になります。

大成建設への賠償金請求額

利息分 6383万5208円 × 0・05 × 7年間 = 約2234万2323円

6383万5208円 + 2234万2323円 = 8617万7531万円

飛島建設への賠償金請求額

利息分 748万2247円 × 0.05 × 7年間 = 約261万8787円

748万2247円 + 261万8787円 = 1010万1034円

合わせて 9627万8565円

※これにプラスして利息分の日割りの分が加わりますので約1億円になると思われます。


しかし、この勝訴は、この問題に及び腰で自ら裁判に打って出なかった立川市に代わって、ゼネコンを訴えた住民や弁護士の皆さんが長い間裁判でたたかってきたおかげです。談合を許さないと立ちあがり、裁判をたたかわれた住民のみなさんや弁護士の方々に敬意を示したいと思います。このゼネコン2社が損害賠償請求に応じれば、立川市は適正な弁護士報酬を住民の方々に支払うことになります。


私ははじめから立川市が自ら談合ゼネコンを訴えるべきと主張してきましたが、その主張は決して間違いではなかったとあらためて思います。惜しむらくは、東京地裁での判決の損害額がその下水道工事の予定価格(上限価格)の10%に当たる約1億7000万円で画期的な判決であったのに対して、高裁判決では約7000万円(予定価格の5%)と損害額が半分以下になってしまったことです。


この談合事件が起きた時期は立川駅のデッキ工事などの大規模開発がおこなわれていた時期と重なります。当時の工事の落札率は99%、98%、97%など談合が疑われる案件がたくさんありました。まさに「限りなくクロに近いハイイロ」状態。時代は変わり、立川市では入札改革などが進みましたが、今後とも談合・不正に監視の目を光らせることが必要です。


関連記事 ◆多摩地区ゼネコン談合、30社に6億円の課徴金納付の審決

◆2009年6月議会 総務委員会所管事項質問(2009年6月12日)


※そもそも、「多摩地区ゼネコン談合」は、東京都の外郭団体『東京都新都市建設公社』が1997年10月から2000年9月にかけて立川市をはじめ八王子市、町田市、日野市などの委託を受けて発注した下水道工事などで入札参加企業が談合を繰り返していたと、公正取引委員会が、大成建設清水建設など入札参加企業34社に対して、2001年12月14日に独占禁止法の規定に基づき課徴金納付命令を出したことで発覚した談合事件です。談合がおこなわれた立川市の下水道工事の契約6件は1998年9月から2000年1月にかけて落札されています。


◆2002年1月30日、ゼネコン側がこの課徴金納付命令に応諾せず「審判」が開始。

◆2008年7月28日、公正取引委員会は、東京都多摩地区の公共工事の入札談合で大成建設清水建設などゼネコン33社の独禁法違反を認定し、うち30社に総額6億202万円の課徴金納付を命じる「審決」を出した。ゼネコン側は審決を不服として、審決の取り消しを求める裁判開始(東京高裁)。


◆2002年2月21日、住民が立川市にゼネコン側に損害賠償請求するように住民監査請求を提出。

◆2002年4月19日、請求人に監査結果を通知・公表。
(監査委員は、青木前市長に対して審決が確定して最終的に談合行為が認定された場合に 東京都新都市建設公社に支払われている事務費を含めて損害賠償請求をするとともに、さらに有効な談合防止策について検討されるよう要望したのみ。実質的には監査請求を退けた。)

この実質的な住民監査請求「却下」により、審判と並行しておこなわれた住民訴訟は、市民側が「談合で建設費が高くなった」として業者に約3億7000万円の賠償を求めたもの。

◆2007年10月26日、 住民訴訟 東京地裁判決 2社に1億7000万円の支払い命令。ゼネコン側控訴。

◆2009年5月28日、 住民訴訟 東京高裁判決  談合を認め、2社に約7000万円の支払い命令。ゼネコン側控訴。

◆2009年10月23日、最高裁判所が2社の上告を棄却。2審判決が確定。


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