謝罪とイガグリ頭と新たな決意

igaken502008-12-14


 現在、立川市ではコスト論に偏重した保育園の民営化を押し進めようとしています。

 この間、子どもたちにつらい想いをさせない(少なくともそれを最大限ゼロにできるような)民営化はあるのか。民営化で節約できるとされているお金が本当に待機児解消などを含めた保育のために使われて、認可の私立保育園や認証保育園の保育士の給与保障や労働条件の整備などを含めた立川市全体の保育の底上げ・充実になるのか。ありうべき保育園民営化はあるのかと、私自身いろいろと模索してきましたが、市がおこなっている保護者説明会では(一応すべてを傍聴していますが)、すべて曖昧なままで、具体的な答えはありませんでした。

 それゆえに、保護者の反対の声も非常に大きくなってきていると感じています。

 そもそも、今回の西砂保育園、見影橋保育園とあと3園(まだ未決定)の5園を民営化しようとしている立川市ですが、2005年度から2009年度までを対象とした『立川市保育行政計画』(5カ年の計画)には「民営化する」という言葉は一切ありません。さらに、基幹園として公立保育園を何園残していくのかという中長期的な保育計画も、以前あったものを反古にして、現在は無いようです。

 民営化するということは、夜間や休日の説明会への参加や協議などで、働きながら子育てをする対象保育園の親たちには大きな負担をかけます。それなのに、基本的な方針も、民営化で浮くお金の試算もあいまいで、浮いたお金の使い方もきちんと定まっていないというのに、とりあえず5園の民営化したいというのであれば、あまりにも無責任な話ではないでしょうか。

 今まで立川駅前の大規模開発で借金を増やした責任にほっかむりをした上で、財政問題を理由に民営化を持ち出すのは、説明責任を果たしているとは言えません。やはり、今回の拙速な保育園民営化方針は、本質的にはコスト削減を優先し、市長の公約である「市職員の削減」に都合が良いからやるのではないかと思わざるを得ません。

 このようなことを総合して考えた結果、今までもほぼ反対の立場ではありましたが、今後は120%この方針に反対し、志を同じくする保護者の皆さんや保育士の先生方や市民の皆さんと手をつなぎ、この民営化方針を白紙撤回させるために死力を尽くしてゆく覚悟を決めました。

 その際に、謝罪しなければならないことがありますので、この場を借りて「ごめんなさい」をしたいと思います。

 実は私は立川市議会では野党の立場ながら、2002年4月から民営化された市立曙保育園を廃止する議案に野党の中で唯一賛成しています。その当時は、受ける私立保育園の社会福祉法人が積極的で待機児解消のためにはしょうがないと思っていたためと、その浮いたお金で、認可保育所に入れずに認証保育所に通わざるを得ず高い保育料を払っている保護者への補助をしてほしいと思っていたためです。さらに、その当時は、立川市公共工事では落札率などの数値から必ず談合がおこなわれていると思い(実際にその後に入札談合事件が発覚した)、談合=犯罪=大きな税金のムダ遣いをやめさせるために、入札改革を進めるしかないと考え、『一点突破』でそのことに集中して質問をおこない、他のことについては勉強不足だったために、私立保育園保育士の給与実態や勤続年数や労働条件・環境などについて正確に知りませんでした。

 今回の民営化問題をきっかけに、保育課長に相当数の資料請求をして(お忙しい中課長や保育課の皆さんには感謝しています)、実態を把握し、手前味噌ですが、関連の本や書籍を読み漁って、保育園の民営化問題について把握することができました。

 話を戻すと、市によれば市立曙保育園の民営化で約4000万円のお金が浮いたそうですが、認証保育所へ通う子どもの保護者への保育料補助は未だにされていません。さらに私の資料請求によって明らかになったことですが、今まで私立保育園やその保育士に市が独自に加算して補助をしていたものも削られていました。結局浮いたお金がどこに使われたかは不明確なままです。

 このような経過をみると、私が市立曙保育園の民営化に賛成してしまったことは取り返しのつかない大きな判断ミスでした。市立曙保育園を廃止する議案自体は私一人が反対に回ったとしても賛成多数で可決されることには変わりありませんでしたが、間違った判断をしたことは変わりません。

 当時、いきなりの環境の変化に心が傷ついてしまった曙保育園の子どもたち(乳児たち)に心からお詫びをします。また保護者の方や子どもたちと突然引き離されてつらい思いをした当時の曙保育園の保育士の皆さんにも同様にお詫びいたします。

 「どうもすいませんでした。ごめんなさい」。

 これから、立川市の保育が全体的に向上・充実するためにがんばります。

 余談ですが、その気持ちを毎日確認するために、中学生時代以来のイガグリ頭にしました(柔道部もしくは相撲部の新入部員みたいになってしまいました…)。普段の厳つい感じがさらに厳つい感じになってしまいましたが、今後ともよろしくお願いします。


 ※写真は11月30日に保育連絡会の主催で行われた「保育問題を考える学習会」。席が足りなくなる大入り満員で、把握しているだけでも110名以上の参加者がありました。民営化対象園の保護者からは、公的保育を後退させる民営化には断固反対するなどの発言もあって、盛り上がりを見せていました。