子どもたちの立場にたった保育行政について (9月議会あれこれ1 一般質問)  

igaken502008-10-07


 保育園の民営化をしたら本当に保育が良くなるの?。そんな疑問をもって、3月議会、6月議会と連続して、保育行政について質問を続けてきましたが、9月議会でも、一般質問や決算特別委員会などで質問・質疑をしました。以下は一般質問の保育行政についての部分の質疑です。

 清水市長が課長の書いたと思われる答弁の原稿を「読むだけ!?」だったのか、私の質問の仕方が悪かったのか、きちんと答えてもらえない部分もありましたが、いつものことで時間がなくなってしまって詰めきれませんでした。質問事項にナンバリングをしましたので、答えていない部分はどこなのかご判断いただければと思います。

 また、まだ確定した原稿ではありませんので、以下の文章の責任はすべて五十嵐にあります。

※写真は岩波ブックレット『保育園の民営化を考える』汐見稔幸、近藤幹生、普光院亜紀共著(2005年5月10日発行)と『変わる保育園』普光院亜紀著(2007年9月5日発行)両著とも、保育や保育園の民営化などについてわかりやすく書かれています。お薦めです。


五十嵐の質問

五十嵐


 まず、1、子どもたちの立場にたった保育行政について、「民営化で保育が良くなるのか」ということでお聞きしたいというふうに思います。


 私は公立保育園が万能であるとは思いませんが、国が主導するような保育に市場主義を持ち込み、コスト論を優先し、財政的支出の削減のみを目的とした安易な民営化については反対ということで質問してきましたが、今日は3月議会、6月議会に続いて3回目の質問です。この質問のヒアリングにきた担当の方と質問内容について大分つめたつもりですので、明快、明確なご答弁をどうぞよろしくお願いします。


 ①市立保育園の民営化方針に対する保護者説明会とその場での保護者の声について


 すべての説明会を傍聴しているのですが、突然の民営化方針ということで、戸惑いがあってはじめのうちは遠慮がちに質問する保護者の若いお父さんとお母さんたちが多かったと思いますが、
「性急すぎる」、
「保育士の先生が全員入れ替わってしまうので子どもたちに負担が大きすぎる」、
「なぜ入園する前に知らせてくれなかったのか」、
「もう決まってしまったことなのか」、
「保育の質が維持できるのか」
と説明会も回を増すごとに、不安、心配、市への疑問、反対を求める声が強くなっているように感じます。


 また、西砂や見影橋の保育士の先生たちの熱心な保育に感謝する声が多く、その言葉から、立川市の公立保育園の質の高さを改めて感じているところです。


 さて、具体的には説明会では、

◆急ピッチで進む民営化には断固反対です。市が公的責任をもって保育を進めてやるべきことをやってほしい。

◆保育士の平均年齢や年齢構成や勤続年数は公立と私立では差がある。やはり民営化ありきではなく、まず私立保育園の保育士の待遇改善などの底上げをしてから、民営化ということを言ってほしい。

◆民営化にはまず反対です。「公(おおやけ)」としての保育を守っていってほしい。大人のニーズではなく、まず子どもの立場にたって考えてほしい。待機児解消は分園や新園開設で考えていってほしい。

◆民間保育園の保育の質をどう思っているのか。民営化して保育の質は下げないと言うけれど、本当にそのようにできるんですか。――さらに市側の答えを聞いて――私もわかりましたとは言えません。民営化に反対です。

◆民営化には反対です。見影橋保育園には地域や障がい者の方々との関わりがあり、いいところがたくさんあります。知っている先生がいなくなってしまうと子どもたちがさみしい思いになります。先生が全員入れ替わってしまうことでの精神的なストレスも心配です。

◆民営化を子どもたちが望んでいるのでしょうか。子どもたちの目線で考えてほしい。子どもや先生(保育士)が一番なので、もっと時間をかけて考えてほしい。少なくとも今の0歳児が卒園するまで待てないのか、2、3年で変えてしまうの早すぎます。入園する前に民営化することを知っているのならまだしも、みんな民営化のことは知らなかったのだから・・・。――ここで、一堂、保護者の皆さんが「そうよね〜」と相づちを打ってざわつきました――

◆子どもたちが慣れると簡単に言わないでほしい。子どもたちは、民営化、先生が代わってしまうことを理解できない。3人子どもがいるが、民営化には反対です。子どもたちにとっては今の先生が一番。よく面倒を見てくれている。子どもたちのストレスを思うとこの話は納得できません。仕事もうかうかしていられません。今の先生たちは私にとっては命です。

◆うちの子どもは認証から無認可そしてやっと見影橋保育園に来て落ち着きました。子どもたちの気持ちがわかりますか。以前通っていた園の前を通るだけでも怖がるんですよ。ある中学生が親にも誰にも相談できないことを以前お世話になった上砂保育園の保育士の先生のところに相談にやってくるという話を聞きましたが、それほど保育園の先生とは重要だと思います。そういうことをわかってほしい。


というような声が上がっています。


 (1)このような反対の意見を市側はどのように受け取っているでしょうか。具体的にお答えください。市としては各論に入るのに急ぐのではなくて、スケジュールに従うのではなく、保護者が納得するまで話し合いを深めるべきだと思いますが、その点についてどのように考えるのかお示しください。



 (2)パブリックコメントをするという説明が不足していたという指摘が保護者から上がりましたが、その点について反省する点があれば、お答えください。



 (3)説明会で、市は、この民営化方針をあたかも決定事項のように説明しているが、この2園の民営化方針はあくまで「行政内部での決定」でしかなく、法的に決まったわけではないこと、つまり、市議会で公立保育園を廃止する条例改正と民営化の予算を盛り込んだ予算案が可決されなければ、確定し決定事項になったわけではないときちんと説明すべきだと思いますが、見解を求めます。



 (4)また、西砂保育園の説明会では事業者選定委員会に6名の委員のうち保護者の代表が2名だけなのは少なすぎる、少なくとも4名にすべきという意見が出ていましたが、市はその要望については真摯に応えていません。私は保護者の代表はは6名ぐらいいた方がいいとも思っていますが、さらに、保護者がそのことを求めてきたら、市はその意見を取り入れるのかどうかお聞きします。



 次に②保育の質についてお聞きします。


 「保育の質」研究の第一人者である福島大学教育学部教授の大宮勇雄さんは、「乳幼児期に育つ大切な力は、自己を肯定する感覚や他者との関わり方を理解するといった「人間らしい力」の基礎になります」とし、視点を社会に向けると、「質の良い保育」が「もっとも効率的な保育」になることを知っておくことが大切です。質の良い保育は社会にもメリットをもたらします。実際に、質の良い保育を受けた子供は社会に適応しやすく、しばしば活躍することは、統計的な調査でも確かめられています。コストがかかるという理由で保育を軽視する最近の風潮は、結局、社会全体の非効率を生み出します。したがって、「保育の質」を守ることは社会の、ひいては政府の責任だ、と指摘しています。


 また、大宮さんは、保育の質を決めるものとして、アメリカでの研究をもとにその三要素をあげています。

第一の要素は、保育者と子供の関係の質、大人同士の関係の質、カリキュラム、栄養と食事、安全管理といった「中身の質」。
第二の要素は、保育者の資格や専門性、保育者の配置(子供と保育者の比率、子供が構成するグループの人数)、施設や整備や環境といった「条件の質」。
第三の要素は、保育者の賃金や離職率といった「保育者の処遇です」。


 私自身も保育の質はこの3要素に負うところが大きいのではと考えますが、大宮さんは、第1要素の保育の「中身」の質を測定するのは難しいもので、アメリカでは、むしろ「客観的なものさし」を用いて質を測定していることを指摘して、保育者の配置(子供と保育者の比率、子供が構成するグループの人数)、保育者の賃金、保育者の離職率、この三点を重要視しています。


 (1)中身の質を測定することはもちろんですが、立川市でも保育の質を保育者の配置、保育者の賃金、保育者の離職率で客観的な測定をすべきと思いますが、見解をお伺いします。



 次に立川市における保育の官民格差について、公私間格差について三たびお聞きします。


 (1)まず、非常勤(非正規)比率は公立保育園でどのくらか、私立保育園でどのくらいか、その公私格差はどれくらいなのか。また、その状況をどう評価するのか、お答えください。


それから、正規保育士の年齢構成の公私格差について
保育の質を維持・向上していくためには、ベテランから新人までさまざまな年齢構成の保育士がバランスよく配置されたされた方がいいと考えています。市長も前回までの私の質問に年齢構成の公私格差をお認めになり、「保育園における保育士の年齢構成につきましては、20代から50代に至るまでバランスよく配置されていることが望ましいと考えております」と答えています。


 (2)では、現在の保育士の年齢構成の公私格差は現時点でどのように是正されなければならないとお考えですか。例えば、現在の立川市の私立の保育士の年齢構成は20代で47.5%を占め、30代が26.0%で、7割を超えていますが、たとえば、これを6割まで下げるなどの基準みたいなものが必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。


 (3)また、その是正のためには何が必要で、市ができることは何か、また、いつまでに是正ができるとお考えなのか。お示しください。


 また、立川市では
正規保育士の 平均年齢の公私格差8歳(2007年度)という格差(公立40歳、私立32歳)、正規保育士の平均給与の公私格差16万6000円(2007年4月分)という格差(公立42万1000円、私立25万5000円)、
正規保育士の平均勤続年数 の公私格差11年という格差があります。


 (4)それぞれの格差が5年スパン、10年スパンで、どのくらい縮小すればよいと考えるのか。またどのくらいの是正が必要と考えているのか。お答えください。


 (5)さらに、正規保育士の産休・育休取得者数の格差がなぜ生じているのか。その原因について詳細な分析はしたのか。


 (6)また私立保育園の2園は5年連続産休取得数も育休取得数もゼロという状況ででしたが、原因は調査したのか。(特にこの2園にその5年間に妊娠したことによる退職があるなどの状況があるのかどうか)お答えください。


  次に④私立保育園の保育士の待遇改善に市のできることは何か。というこでお聞きします。


 保護者説明会で、子ども家庭部長は「私もある保育園で園児たちとの食事に同席したことがあるが、保育士の役割や質が子どもたちにとってはとても大事なことと理解している。保育の質は保護者の皆さんと話し合いたいと思う」と答えています。


 (1)保護者からは民営化する前に保育士の公私間格差をなくしてほしいという声もありました。しかし、立川市は認可の私立保育園に対する市の単独加算分をここ10年で、6種類も廃止し、ひとつの単独加算分を新設していますが、差し引き約6000万円の単独加算を削っています。まずその詳細をお示しください。


 (2)市は私立保育園保育士の勤続年数に応じた補助の単独加算や研修の充実などをすると答えていますが、まだ、抽象的な域を出ていません。私立保育園の保育士の待遇改善に市のできることは何か、具体的にお答えください。


 次に⑤保育ニーズにこたえ、保育サービスの充実を図るためには立川市の児童1人当たりの保育所運営コスト自体を上げて保育への公的負担をふやすべきではないか、ということで三たびお聞きします。


 立川市は認可保育園の定員枠が他市より多いことは評価いたしますが、児童1人当たりの保育所運営コストが多摩26市の旧類似10市の中で9位と低く、立川市と同じように3000名を超える定員枠を持っている、府中市は、児童1人当たりの保育所運営コスト、公立保育園と私立保育園の合計ですけれども、2006年度の決算額162万3122円で、152万4532円の立川市と児童1人当たり9万8590円もお金をかけています。


 この間の定率減税などの廃止で、市民には大きな増税になった代わりに、立川市には約14億7500万円の増収があり、これは、保育園の保護者の方々の増税分も含んでいます。


 (1)民営化するかしないか以前に、この増収分の中から保育への公的負担を増やすべきではないでしょうか。お答えください。


 次に⑥公立保育園の存在意義について、ということでお聞きします。


 立川市でも、障害者保育の実施率は公立園の方が高い状況がありますが、公立保育園が自治体のアンテナとなり、つまり、目や耳となり、手足となり、地域のセーフティーネットとして民間が対応しきれていない福祉ニーズに対応することや安定した雇用で保育業界の人材育成の基地になって、子育て支援の中核をなすものであると思います。


 (1)長期的展望を持って、市として公立保育園の存在意義を再確認し、その果たすべき役割を明確にすべきと思いますが、見解をお示しください。


 次に⑦保育園の民営化を見送った文京区の取り組みについて、お聞きします。


 文京区では3年間も区と保護者の代表とが協議をおこない、民営化後の保育の質の維持が不透明で、公立でも団塊世代の保育士退職後は人件費が減り、運営費全体が縮小すること、休日保育などの多様なニーズに応えられることがわかり、民営化を見送っています。また、その過程の中で『文京保育ビジョン』という素晴らしい指針をつくっています。

 (1)立川市でもこのような長期的なビジョンが必要だと思いますが、保育園の民営化を見送った文京区の取り組みについての評価と、保育ビジョンについての評価とその必要性について、お答えください。


市側の答弁


清水市


順次お答えを申し上げます。


 まず、市立保育園民営化対象候補園2園における保護者説明会につきましては、6月下旬からこれまでに、西砂保育園と見影橋保育園で合わせて10回の説明会を実施してまいりました。


 説明会では、保育士がかわることによる子どもへの影響や保護者の不安などの保護者の声を初め、保育の質、引き継ぎに関すること、民営化全般に関すること、保育園職員に関すること、事業者に関することなど、保護者の方からの多数にわたる質疑に対しまして、個々具体に市の考え方をご説明してきたところでございます。


 次に、保育の質につきましては、いろいろなとらえ方がありますが、一例といたしまして、職員配置や施設整備等の基本条件などの構造的な質、子ども、家庭との対面的、具体的な保育実践の質、園内のチームワークの質、子育て目標などの基本的位置をつくっていく保護者との協働の質の視点などが挙げられます。


 具体的には、最低基準としての職員配置や施設配置、職員の資格や職務遂行能力、保育指針や保育目標、保育計画、保育内容などについて指導検査や評価を行うことによって、保育の質の維持・向上につながるものととらえております。


 次に、市立保育園と私立保育園の職員体制につきまして、代替・臨時職員等を除き、同じ勤務体系等で比較した場合、市立保育園11園における常勤職員は211人、非常勤職員は50人で、全体に占める非常勤職員の割合は19.2%。私立保育園17園における常勤職員は380人、非常勤職員は47人で、全体に占める非常勤職員の割合は11.0%となっております。


 市立保育園では、11時間開所のための短時間嘱託や障害児担当嘱託を採用していることなどから、非常勤職員が多い状況となっているものであります。


 保育園における保育士の年齢構成につきましては、バランスよく配置されることが望ましいと考えておりますが、保育士の経験豊かな人材確保の視点に注視いたしまして、平均勤続年数10年以上の加算率の再構築などについて、市立保育園の民営化にあわせて検討してまいります。


 こうした取り組みによりまして、正規保育士の平均年齢や平均給与、平均勤続年数におきまして、それぞれ市立と私立間の縮小や待遇改善につながるものと考えております。


 正規保育士の産休や育休の取得状況につきましては、市立保育園のほうが制度の活用が図られていますが、私立保育園におきましても、産休代替における都や市の単独加算助成がありますので、制度の活用を推進してまります。


 ご指摘の私立保育園におきましては、制度利用者がなかったことによるもので、産休に伴い退職をした例は聞いてございません。


 今後の保育ニーズにこたえ、一時特定保育や延長保育時間の延長、休日保育の実施など、子育て支援の拡充を図るために、市立保育園の民営化にあわせ、保育行政経費全体の見直しを行い、児童一人当たりの保育所運営コストにも注視しながら検討を行ってまいります。


 市立保育園の存在意義についてでありますが、当面5園を対象に民営化を進めてまいりますが、この間、子育て関連の他の公的機関との連携はもとより、市立保育園が蓄積する豊かな経験と人材を生かして、私立保育園と連携のとれた保育の質の向上や子育て支援を展開するとともに、私立保育園での受け入れが困難な障害児の対応を図るなど、地域全体の子育て支援のレベルアップに貢献する役割を担うものと考えております。


 次に、立川市での保育園民営化におきましては、新たな受け入れ事業者との引き継ぎや合同保育が円滑に進められるよう、ガイドラインに基づき、保護者説明会を通じて話し合いを重ねるとともに、情報の提供や保護者、受け入れ事業者、立川市三者による話し合いの場を設けるなど、丁寧に対応してまいります。


 また、立川市におきましては、今後、第3次基本計画や次期子ども21プランの策定作業にあわせ、次期保育行政計画の策定作業に取り組みますが、文京区保育ビジョンの内容についても参考資料としてまいりたいと考えております。


 
子ども家庭部長


 保育園の民営化につきまして、細かい点につきまして補足をさせていただきます。


 まず、1点目の保護者説明会でございます。


 議員、全10回出ていただきまして、まずありがとうございます。


 保護者の説明会で、私も10回出た中で感じたことは、やはり保護者の不安解消にはまだまだ至っていないという実感をもってございまして、今後も保護者説明会を丁寧に進めてまいりますとともに、保護者の不安の解消していき、民営化の理解をしてもらうための努力をしてまいるつもりでございます。


 続きまして、パブリックコメントの件でございます。


 パブリックコメントの実施に当たりましては、昨年12月25日号の広報紙や市のホームページの掲載はもとより、各保育園や市内公共施設でも閲覧できるよう講じたところでございます。また、期間も1ヶ月以上の期間を設けたところでございます。


 なお、本年3月に、パブリックコメントに対する市の考え方や、市立保育園の民営化についての冊子につきましては保護者全員に配布したところでございます。


 次に、民営化の方針についてきちんと説明すべきではないかというご質問がございました。
 市立保育園民営化の方針についてでございますが、ハブリックコメントでの市民の意見等を踏まえ3月に市の方針として決定したところでございます。これに基づき、2園の対象候補園を選定いたしまして、保護者説明会を開催し、保護者等のご質問にこたえ、ご理解が得られるよう、手順を踏まえ、丁寧に進めているところでございます。


 次に、事業者選定委員会についてでございます。事業者選定委員会のメンバーにつきましては、保育に関する学識経験者や会計に関する専門知識を有する方、認可保育園園長経験者、さらに、保護者の方を想定しております。


 事業者選定委員会を初め事業者公募の際の事柄につきましては、保護者のご意見をお聞きしながら検討してまりたいと考えております。


 次に、大きな4点目でございました保育士の待遇改善についてでございます。


 市の単独加算につきましては、議員ご指摘のとおり、見直しをさせていただきました。今までに社会福祉法人理事長研修費、充実保育士加算、11時間解消保育士加算、職員期末手当援助費、特例パート期末手当援助費の5項目で見直しを行いました。新たに待機児童加算、子育て対策加算を設けたところでありまして、平成19年度におきましては、影響額は約5200万となってございます。


 次に、勤続年数に応じた補助の単独加算や研修の充実についてのご質問でございます。


 市長が、先ほどご答弁申し上げましたが、保育士の経験豊かな人材確保の視点に注視いたしまして、平均勤続年数10年以上の加算率の再構築を初め、市立保育園と私立保育園の合同研修や、情報交流のさらなる充実など、保育の質の維持向上に向け検討しているところでございます。


 それから、児童一人当たりの保育所運営コストの関係で、先ほど、府中市の例を挙げられておりました。確かに、府中市との差はございますが、その中身ですけれども、府中市は、民間保育園15園ございまして、その全園で延長保育をやっております。立川市は17園中11園でしか延長保育をやっていないという現実があって、さらに、府中市につきましては、延長保育の時間も長い時間をやっているということで、おのずと児童一人当たりの運営費が嵩上げされているのかな。その金額の精査ははまだしておりませんけれども、それが一つの大きな要因ではないかなというふうに考えております。


 最後、文京区の取り組みでございます。


 文京区保育ビジョンの冊子をいただきまして、ありがとうございました。早速読ませていただきまして、特に、親の就労とか親の支援の部分をビジョンの中でとらえているということで、大変先進的なものだなというふうに思っておりまして、今後、保育行政計画の策定作業に取り組みますけども、参考資料としてまいりたいと考えております。


 ただ、最近、新聞で見ますと、文京区も大変待機児がふえていまして、ここで無認可保育園を区でやるという記事を見ました。無認可保育園を区でやるということは、保育の質ということでどうなのかなというふうに正直私も思っておりまして、保育ビジョンとのかかわりでどうなのかな。待機児がすごくふえているという実情を早く解消したいという方策の一つではあると思いますが、そういう記事を読んだことで感じたことがございました。



五十嵐の要望(時間がなくなってしまったため)


五十嵐


 つめた割には、私の質問としては答えてくれたほうかなと思いますが、後で議事録を見れば、いかに適切に答えてくれていないということがわかるような答弁でございました。


 保育園の説明会での反対の意見がやはり多いということは、部長自身がやはり一番感じていることだと思うんですよ。市がやった保護者アンケートの自由記述の欄も、やはり真っ向から反対が46%いて、不安や要望があるといって、中には反対の意見ととられるような意見もたくさんありますから、そのうち半分は反対だと考えて、私はやはり6割から3分の2ぐらいの方々が反対していて、あとの方は、賛成が非常に少なくて、厳格な条件付でなら、もうしょうがないかなと思っている方がいるというのが現状だと思います。


 ですから、いろいろな保護者の意見を丁寧に聞いていくということは、説明会自体で言っていることはわかっていますので、今後、保護者の同意、納得、理解を得ずには民営化を強引に進めないこと。要するにスケジュールにとらわれた無理な各論への移行をしないことをまず要望しておきます。


 また、保護者の不安、疑問、意見や資料請求などには最大限こたえるということを要望いたします。今後、保育ニュースをつくっていくそうですけれども、それは公立保育園の保護者だけでなくて、私は私立保育園の保護者にも、やはり保育のことは地域全体で考えていって、いかに私立も公立も、あと認証も、そういったところも全体的に底上げしていこうという方向に進んでいただきたい、世論喚起していただきたい。


 パブリックコメントというのは、やはり、皆さんはいろいろ公表してやったと言うけれども、保護者の皆さんにとっては、ポケットに入っていて、その時には、そんなに関心なかったから気づかなかったんだ。そういうことはやはりきちっと該当者、公立保育園の保護者には、きちっと保育園を通じて言うなり、きちっともう少しお知らせする必要があったというふうに思いますので、今後そういうことが間違ってもないように要望します。


 また、保育ビジョンについては、きっちり、基本的に参考にしていただきたいというふうに思いますし、実は、文京区は、保育計画のほかにこういうビジョンをつくっているわけです。我が立川市でもお世話になった汐見稔幸先生が中心になって保育ビジョンをつくったわけですが、そういう縁もございますので、やはりきちっと基本的な参考書にして、次の保育行政計画に生かしていただきたいというふうに思います。