じっくり考え直そう!!! 保育園の民営化

igaken502008-08-27


反対の声も日増しに大きく 見影橋保育園の保護者説明会

 今、立川市では、公立保育園11園のうち、将来的に5園を順次民営化していく計画があり、2010年度までに、まず1園を民営化しようとしています。

 私は公立保育園が万能であるとは思いませんが、国が主導するような保育に市場主義を持ち込み、コスト論を優先し、財政的支出の削減のみを目的とした安易な民営化については反対です。

 詳しくは下記の五十嵐けんのホームページをご覧ください。
 ちょっと待った !! 子どもたちの立場から じっくり考え直そう 保育園の民営化


 特に、立川市の保育園の民営化方針は『経営改革プラン』という行革計画にもとづいておこなわれようとしていますが、この経営改革プランはほんの一部の市民公募を含む審議会での議論はあったものの、行政主導でつくられたもので、必ずしも全市民的な議論や理解を得てつくられたものではありません。ですから、市議会でもその抜本的な見直しを求める声が非常に多いのが実状です。

 端的にいえば、立川市の民営化方針はコスト論を優先にしたものであり、この方針をつくる前に、当事者である子どもたちの保護者や現場の保育士の声を聞いたという形跡はほとんどありません。この方針ができてからの意見募集(パブリックコメント)のやり方もきわめて消極的で、当事者である保護者にパブリックコメントをしますよということがきちんと伝わっていませんでしたので、パブリックコメントは9件しか集まっていません。しかも、反対運動が起きることをおそれてのことか、パブリックコメント後に民営化候補対象園を発表するというやり方でした。

 そのような経過の中で、初めの民営化候補は西砂保育園、2園目の候補は見影橋保育園と発表され、保護者を対象とした説明会が始まりました。

 西砂保育園の1回目の説明会は6月28日と7月2日に、2回目の説明会7月19日と22日に、見影橋保育園の1回目の説明会は7月5日と8日におこなわれ、今日は見影橋保育園の2回目の説明会がありましたので、傍聴に行きました。

 すべての説明会を傍聴しているのですが、突然の民営化方針ということで、戸惑いがあってはじめのうちは遠慮がちに質問する保護者の若いお父さんとお母さんたちでしたが、「性急すぎる」、「保育士の先生が全員入れ替わってしまうので子どもたちに負担が大きすぎる」、「なぜ入園する前に知らせてくれなかったのか」、「もう決まってしまったことなのか」、「保育の質が維持できるのか」と説明会も回を増すごとに、不安、心配、市への疑問、反対を求める声が強くなっているように感じます。

 この2園の民営化方針はあくまで「行政内部での決定」でしかなく、法的に決まったわけではありません。つまり、市議会で公立保育園を廃止する条例改正と民営化の予算を盛り込んだ予算案が可決されなければ、確定し決定事項になったわけではないのです。

 子どもたちの最善の利益を確保するにはどうすべきなのか、それを決めるのは保護者のお父さんやお母さんたちであると私は思います。

 文京区では3年間も区と保護者の代表とが協議をおこない、民営化後の保育の質の維持が不透明で、公立でも団塊世代の保育士退職後は人件費が減り、運営費全体が縮小すること、休日保育などの多様なニーズに応えられることがわかり、民営化を見送っています。また、お隣の日野市でも保育園民営化反対の大きな運動が巻き起こり、民営化は延期になり、実施されていません。

Get up
Stand up  
Stand up for your rights and your chirdren's rights
Don't give up the fight

保護者説明会に出て意見を言おう!!!

見影橋保育園 2回目説明会(午前の部)日時:8月30日(土)午前10時より 場所:こんぴら橋会館集会室

西砂保育園  3回目説明会(夜の部)日時:9月2日(火)午後7時より 場所:西砂保育園ホール

西砂保育園  3回目説明会(午前の部)日時:9月6日(土)午前10時より 場所:西砂保育園ホール


下記は27日の説明会での質疑のやり取りの一部
(五十嵐のメモによりますので、一字一句正確なものではありません。文章の責任は五十嵐にあります)

保護者(女性)
急ピッチで進む民営化には断固反対です。市が公的責任をもって保育を進めてやるべきことをやってほしい。練馬区や中野区などでも強引な民営化が問題になっていますよね


保育課長
財源の問題がある。財源を確保しないといろいろな保育や子育て支援はできない。他市他区の民営化で係争になっている問題も承知しているが、そういうことがないように、民営化ガイドラインをつくり、皆さんの意見を積極的に聞いていきたい。


保護者(男性)
現状の立川市の公立、私立保育園の保育士のデータ、平均年齢、年齢構成、勤続年数などを教えてほしい。


保育課長
保育士の平均年齢は公立は40歳、私立は32歳。私立は2、30代の保育士が多い。勤続年数は公立で19年、私立で10年。


同じ男性
保育士の平均年齢や年齢構成や勤続年数は公立と私立では差がある。やはり民営化ありきではなく、まず私立保育園の保育士の待遇改善などの底上げをしてから、民営化ということを言ってほしい。


子ども家庭部長
この間東京都の民間保育園保育士の補助体系が崩れている。今後市のお金で何とかしたいが、その意味でも財源が必要。ご理解ください。


同じ男性
答えとしてはわかりましたが、わかりました(理解した)とは言えません。


保護者(女性)
民営化にはまず反対です。「公(おおやけ)」としての保育を守っていってほしい。大人のニーズではなく、まず子どもの立場にたって考えてほしい。待機児解消は分園や新園開設で考えていってほしい。
それと市が考える保育の質とは何ですか。


保育課長
待機児解消は認証保育所認定こども園などの選択肢も含めて、財源を確保した上で進めていきたい。
保育の質は、職員の配置、施設の設備、保育の実践、専門的なチームワーク、保護者との協働などに関連すると考えている。


子ども家庭部長
特に保護者との協働が、保育の質という面で、これからは大事であると思っている。


保護者(女性)
民間保育園の保育の質をどう思っているのか。民営化して保育の質は下げないと言うけれど、本当にそのようにできるんですか。


子ども家庭部長
引きつぎ時に、(そうできるように)柔軟に対応していきたい。


同じ女性
事業者の公募がない場合や、事業者が条件をのめない場合はどうなるんですか。


保育課長
再公募をしたい。それによって民営化をやめるということはない。


同じ女性
私もわかりました(理解した)とは言えません。民営化に反対です。


保護者(女性)
民営化には反対です。見影橋保育園には地域や障がい者の方々との関わりがあり、いいところがたくさんあります。知っている先生がいなくなってしまうと子どもたちがさみしい思いになります。先生が全員入れ替わってしまうことでの精神的なストレスも心配です。そのケアも大事になると思います。


保育課長
市が積極的に関与して、ケアの問題など解決していきたい。


保護者(女性)
民営化を子どもたちが望んでいるのでしょうか。子どもたちの目線で考えてほしい。子どもや先生(保育士)が一番なので、もっと時間をかけて考えてほしい。少なくとも今の0歳児が卒園するまで待てないのか、2、3年で変えてしまうの早すぎます。入園する前に民営化することを知っているのならまだしも、みんな民営化のことは知らなかったのだから・・・。
(「そうよね〜」とここで保護者のママとパパたちは相づちを打つ)


保護者(女性、外国出身の方)
子どもたちが慣れると簡単に言わないでほしい。子どもたちは(民営化、先生が代わってしまうことを)理解できない。3人子どもがいるが、民営化には反対です。子どもたちにとっては今の先生が一番。よく面倒を見てくれている。子どもたちのストレスを思うとこの話は納得できません。仕事もうかうかしていられません。今の先生たちは私にとっては命です。


子ども家庭部長
子どもへの精神的なストレスは十分に認識しているつもりです。なるべく影響のでないようにしていきたい。それを最小限にしていきたい。


保護者(女性)
うちの子どもは認証から無認可そしてやっと見影橋保育園に来て落ち着いた状況です。子どもたちの気持ちがわかりますか。以前通っていた園の前を通るだけでも怖がるんですよ。ある中学生が親にも誰にも相談できないことを以前お世話になった上砂保育園の保育士の先生のところに相談にやってくるという話を聞きましたが、それほど保育園の先生とは重要だと思います。そういうことをわかってほしい。


子ども家庭部長
私もある保育園で園児たちとの食事に同席したことがあるが、保育士の役割や質が子どもたちにとってはとても大事なことと理解している。保育の質は保護者の皆さんと話し合いたいと思う。

※写真はおすすめの保育の民営化問題バンドブック『民営化で保育が良くなるの?』垣内国光著 発行ちいさいなかま社 発売ひとなる書房1200円プラス税