口利きには防止策が必要 立川市では

 大分県教育委員会の教員採用汚職では大分県議10人以上からの口利きが明らかになったようです。ニュースを見ていると、これが大分県だけの問題だろうかと感じている人も多いのではないでしょうか。

 議員などのからの口利きや働きかけを防止するためにそれを文書化し、情報公開制度で公開できるようにしている自治体もありますが、大分県ではそのような条例や規定はなかったようです。

 この「口利き・要望等記録化制度」は、改革派で知られていた前鳥取県知事の片山善博さんが全国に先駆けて始め、議員などの口利きの絡む汚職事件などがあった県や市町村で導入されています。片山さん自身が「良い口利きだったら、みんなの前で堂々と言えるはずです。悪い口利きは、コソコソとしかできない。良い口利きはどんどん議場でやるようになる。鳥取県では議会の議論が活発になりました」と言うように、非常に効果が高いと言えますが、水道工事を巡る入札談合汚職事件があり、その究明の過程で市議の「口利き」や有力者の「働きかけ」が明らかになったにもかかわらず、立川市ではいまだにこの制度の導入に至っていません。

立川市の入札談合汚職事件後のアンケート調査で明らかになった市議などの口利の具体例はこちら
http://www.h5.dion.ne.jp/~igaken5/kuchikikigutairei.htm

 私は入札談合事件が起こる前から、この制度を導入するように何度も質問してきましたが、市は働きかけ・口利き・要望等の記録化・公表制度についてはガンとして導入しないと私の提案を突っぱね続けています。

 立川市では、昨年、入札談合汚職事件から4年後にして、コンプライアンスの実態アンケート調査がやっと行われましたが、その報告によると、最近1年間で便宜を図るように働きかけを受けたと感じた職員が24人いて、業界及び業界団体からが8人、国会議員、都議会議員からが1人、市議会議員から15人、職員及び元職員から5人、その他4人となっています。いまだに市議などからの口利きなどの働きかけがあるということをうかがわせる結果です。

 このコンプライアンス実態アンケート調査の中間報告をもとに、今年の3月議会での一般質問で以下のように、働きかけ、要望などの記録化・情報公開制度の必要性について清水市長に質問しましたが、残念ながら、青木前市長の時と同様な消極的な答えしかかえって来ませんでした。

とにかく、議員の口利きや不正な働きかけが横行していた(今もなくなっていない?!) 立川市 では、どうしても必要な制度です。

この口利き・要望等記録化制度は

①悪い口利きや圧力は排除できる
②良い口利きは議場でおこなわれるようになり、議会の議論が活発になる
③職員が情報を共有化でき、個人的な対応にならず、組織的な対応が取れる(不当な依頼から職員を守る)
④市民には、議場以外での政と官とのやりとりが明らかになり、政官癒着という不信感が解消できる

というまさに一石四鳥 の制度です。制度導入に向けて、これからも粘り強く要請していきます。


2008年3月議会一般質問(2008年3月24日)「働きかけ、要望などの記録化・情報公開制度の必要性について」

◆3番(五十嵐けん君) 次に、大きく5点目、働きかけ、要望などの記録化、情報公開制度の必要性についてお聞きします。

私も要望していたコンプライアンスの実態アンケート調査がやっと行われ、中間報告が出ましたが、最近1年間で便宜を図るように働きかけを受けたと感じた職員が24人いて、業界及び業界団体からが8人、国会議員、都議会議員からが1人、市議会議員から15人、職員及び元職員から5人、その他4人となっています。

働きかけの内容も、工事の発注、執行に関すること2人、入札契約に関すること4人、審査確認に関すること2人、許認可に関すること3人、入所、入園に関すること2人、賦課徴収に関すること3人、人事に関すること1人、その他4人という結果になっています。

この中で、便宜を図ったのは4人という結果ですが、この中間報告についての見解をお聞きいたします。

また、立川市の入札談合事件が起こる前から、私は働きかけ、要望などを記録化し、情報公開制度によって公開できる制度を何回も提案してきましたが、このアンケート結果を見ると、ますますその必要性を緊急に感じるものですが、市長の見解をお示しください。

さらに、今後追跡調査などを行い、疑いがないようにすべきと思いますが、今後の対応、対処についてお答えいただければと思います。

さらに、立川市職員倫理条例の第10条には、公正な職務の遂行を損なう行為等の報告として、そういうことがあったときは、上司である管理職に報告し、倫理審査案件報告書をつくらなければなりませんが、今回のアンケートでは、上司に報告したのは働きかけを受けた24人中16人、しなかったのは8人となっています。上司に報告された16人の案件は、報告及び措置の内容を記録した倫理審査案件報告書が作成され、立川市職員倫理審査会に送付されたのでしょうか。されていないとすれば、なぜそういう状況になっているのか、御説明ください。


◎市長(清水庄平君) 次に、働きかけ、口きき等についてのアンケート結果についての感想といいますか思いであります。

職員コンプライアンス調査アンケートにつきまして、私が職員に求めておりますのは、高い倫理意識であり、また市民の立場に立って凛として行動する職員を求めているものであります。

調査では、働きかけについて便宜を図ったとありますが、倫理条例では、「職員は公正な職務の遂行を損なう不当な働きかけ等を受けた場合は、所属長に報告すること、報告を受けた所属長は、倫理審査案件報告書を作成して、職員倫理審査会に提出する」こととなっており、報告書が提出されていないということは、公正な職務の遂行を損なう不当な働きかけではなかったと職員が判断したのではないかと考えることもできますが、もう少し分析が必要であるとも考えておるところでございます。

なお、調査における働きかけという言葉の定義もあいまいでございまして、この点については整理が必要であり、今後整理してまいりたいと考えているところでございます。

また、職員のコンプライアンス意識の徹底という点につきまして、今後も機会あるごとに倫理意識の向上を図っていきたいと考えております。

次に、働きかけ、口きき、要望等の記録化、公表制度の中で、要望も働きかけも含めてすべて記録化して公表すべきであるとの質問につきまして、まずは、全職員に対しまして、倫理条例は当然のことでありますが、今ある制度の趣旨や必要性を徹底して理解させることであると考えております。そのためにも、倫理意識を高める地道な取り組みと、研修等の新たな工夫を図る必要があります。倫理審査会等の意見をいただきながら、今後取り組みを進めてまいります。


◆3番(五十嵐けん君) 私、働きかけ、要望などの記録化、情報公開制度の必要性ということで、今回は口ききという言葉を使っていなかったんですけれども、市長から口ききという言葉が出ましたので、私は、この24人が働きかけを受けたのは、不当な働きかけでなかったというふうな判断というのは、詳細についてわからないわけですから、わからないんですよ。だから、それをやっぱり市民や第三者の目で判断するように、この制度というのは重要だなというふうに思っています。

現行制度だけでは、やはり今回のアンケート調査のように限界があり、なかなか機能していない状況もある。やはり倫理条例や公益通報制度とあわせて、こういった不正な働きかけを事前に抑止する効果の高い働きかけ、要望などの記録化、情報公開制度を早急に検討すべきだと思いますが、もう一度お答えください。よろしくお願いします。


(この2回目の質問に対しての答弁は、時間の関係もあったのかもしれませんが、ありませんでした。野党の議員の質問はよく聞いていないのかもしれませんが、聞いたことに的確に答えないことが多く、答弁がないこともあります。困ったことですが・・・)


◆3番(五十嵐けん君) 自席から要望いたします。

働きかけというのは、やはり今回の中間報告ですから、もう少し詳細な調査をして、今後の政策をつくっていく上での検討につなげていただきたいというふうに私が訴えた制度を検討して、早く導入していただきたいということを訴えてまいります。