草の根の市民の声で
ひっくりかえそう !!
図書館への指定管理者制度導入(民営化)

立川市 はコスト削減のためにまず8つの地区図書館から指定管理者制度を導入にする方針(後には中央図書館も導入)を出し、 4 月 25 日から 6 月 6 日まで市民の意見を聞くということでパブリック・コメントをおこない、 5 月 10 日から市内 9 ヶ所で説明会をおこなっています。

そもそも、この方針に関しては、市民や議会の反対で撤回された「柴崎図書館の廃館」問題の時と同様に、図書館協議会や図書館事業に協力しているボランティア団体や図書館関連団体、図書館利用者などの市民に事前に意見をほとんど聞かずにトップダウンで決められてしまっているというボタンのかけ違いがありますが、私は図書館事業の中核は責任を持った市の専門職(図書館業務専門の司書採用の職員)を中心におこなうべきという意見であり、以下の 9 項目の不安や疑問や理由がありますので、拙速な図書館事業への指定管理者制度導入には反対です。
(五十嵐が考える「直営の少数精鋭の専門職による図書館事業のあり方」は別のところで論じたいと思いますのでここでは触れません)

1、この市の方針は、事前に図書館協議会や図書館関連ボランティアや利用者などの市民の意見を聞かずにコスト論ありきで、長年図書館に奉仕してきている図書館員などの反対する声を押し切ってトップダウンで決められています。

2、営利目的の指定管理者(民間業者)が利益を出すためには人件費を削ります。人件費が低ければ低賃金で不安定な雇用になり、自治体の仕事の中にワーキングプアをつくり出します。

3、また、短期間でやめる人が多く、高い専門性が求められる図書館員を育てられません。

4、経験豊かな図書館員がいなければ、子どもたちに良い本を薦めてくれたり、調べもの(レファレンス)を的確に解決してくれる人がいなくなります。

5、指定管理者制度は、スポーツ施設や駐車場や斎場などの民間の豊富な施設運営のノウハウを公供施設に活かす時に効果的な仕組みですが、図書館事業ついては民間よりも自治体に施設運営のノウハウはあります。

6、図書館事業はもともと利益を生む事業ではなく、指定管理者制度を導入している自治体はまだ数%で、経験も浅く、社会教育機関としても、これからの新しい情報提供機関としても、その役割を果たせるか疑問です。

7、図書館は、図書の貸出などを通じて、利用者の思想や信条が類推されるという高度な個人情報を取り扱う施設であり、厳密にプライバシーが守られなければなりません。情報流出が起きたら、責任は誰が取るのでしょうか。

8、指定管理者が 3 年から 5 年ごとに交代してしまえば、図書館員は全て入れ替わり、 立川市 のそれぞれの地域のニーズにあった選書や学校図書館などとの連携がスムーズにできなくなり、図書館事業の連続性・蓄積性・安定性がもてなくなります。

9、指定管理者はあくまで営利を求める民間業者です。今まで長年の信頼関係のもとに市の図書館事業に手弁当で協力してきた読書関連ボランティアの方たちは営利追求の民間業者にも無給で協力してくれるでしょうか。

以上の理由などにより図書館事業には指定管理者制度はなじまないと考えます。

特に、2の項目のところで触れている指定管理者制度の導入によるコストの削減の源泉は、端的に言えば、指定管理者になった民間企業(団体)が収益を上げようとするために労働コストを低く抑えるということです。つまり、そこで働く人が契約社員派遣社員、短時間の臨時職員などの非正規社員やパートやアルバイトになり、低賃金、不安定雇用になります。もちろん待遇が良いわけではないので入れ替わりが多く、スタッフ定着率も悪いので( 1 年で半数がやめるという例もあるという)、仕事へのモチベーションも当然低くなります。よって、安定性を欠き、モチベーションの薄い職場となり、高い専門性や蓄積性を求められる図書館事業にはなじまないばかりか、かえってサービスの低下を招く危険性が高いのです。

また、8の項目のところで触れましたが、3〜 5 年ごとに指定管理者が変わってしまえば、図書館の継続性、安定性、蓄積性を守ることが困難になります。構造的にも前の指定管理者が継続して図書館事業を落札できなければ、そこで働く低賃金、不安定雇用の非正規社員は職を失うことが多く、指定管理者の図書館事業に携わる人材の入れ替わりはさらに激しくなり、業界としても安定性を欠くことになります。指定管理者制度を導入しても発展性のある図書館事業につながっていかないことは目に見えているのではないでしょうか。

すでに、おこなわれている説明会では、問題の多い拙速な図書館への指定管理者制度の導入に反対する 立川市民の意見がほとんどで、どれも説得力がありました。

ダメなものはダメ、声をあげ、直営の中での改革を求め、図書館事業への指定管理者導入方針をひっくり返しましょう !!

時間がある方は、図書館事業に指定管理者制度を導入する方針の説明会に参加して意見を言ってください !!  説明会は女性総合センター、若葉会館、こぶし会館、新生小学校、高松学習館の5回が終了していていますが、あと4回おこなわれる予定です。どの地区の方でも参加できます。自分の地区での説明会が終わってしまったという方も、上砂、西砂、柴崎、錦でおこなわれる説明会に参加してください。


説明会に参加を
市は、「図書館の見直し方針」についての説明会を下の通り開催します。
 日程 時間         場所
5/24 (土)  午後2:00     上砂会館第2集会室
5/24 (土)  午後6:30 西砂学習館第1教室
5/31 (土) 午後2:00 柴崎学習館第3教室
5/31 (土) 午後6:30 錦学習館講堂

反対の意見を
立川市 は「図書館の見直し方針」についての意見募集(パブリック・コメント)をしています。
意見は郵送、ファクス、 E メールか直接、6月6日(金曜日)までに
中央図書館(〒190−0012  立川市曙町2− 36−2)
FAX 528−6806 
E メール  toshokan@city.tachikawa.lg.jp
直接お持ちになる場合は地区館でも受け付けます。

見直し方針の全文は、 立川市 ホームページ(フロントページの図書館見直し方針を策定〜皆さんのご意見を募集しますというところ)ほか、市立図書館、市役所資料室(第1庁舎3階)、窓口サービスセンター、砂川支所、東部・西部・富士見連絡所、地域学習館でもご覧になれます。

【問い合わせ】 立川市 中央図書館管理係 電話 042-528-6800