他人事(ひとごと)首相の「命の線引き」

「人の生命は地球よりも重い」とは、1977年のダッカのハイジャック事件の際に人質を救うために犯人の要求を受け入れた時の、今の首相の父である故福田赳夫元首相の言葉です。

福田康夫首相も桝添厚生労働大臣も結局、官僚の言いなりになって、全ての薬害C型肝炎患者の一律救済に応じずに「命の線引き」をしました。残念というか、本当に腹立たしく思います。何でも他人事のような振る舞いの福田康夫首相はきっと父の名言も忘れてしまったのでしょう。

「笑って思い出せる日が来ると信じて毎日、福田首相に言葉を投げてきた。しかし、首相は私たちに背を向けたまま、全面解決という最後の山を登ろうとしている私たちを突き落とした」
「私たちはお金の問題を言ってるんじゃない」
「望みを持った自分がばかだった。同じように苦しんでいる被害者を救済してほしいだけなのに…」
「私たちは何度も何度もはい上がってきた。これしきではくじけない。私たちの理念を通すために闘う」

国側の「命の線引き修正案」の提示を受けて記者会見した薬害C型肝炎集団訴訟原告たちの涙ながらの怒りの訴えには、首相をはじめとして今の政府への怒りが沸沸と湧いてきます。

これは極めて個人的なことですが、私の父母のルーツは群馬県。実は亡き父の母方の父、つまり、私の曾祖父は学校の先生をしていたのですが、その教え子に故福田赳夫元首相がいて、当時勉強ができるからと曾祖父が上の学校に行けと強く勧め、故福田赳夫元首相は上の学校に進んだという逸話があると聞いています。同じ上州にルーツを持つ者としても、今回「一律救済」を政治決断しなかった首相には怒りを感じます。再度の政治決断を求めたいと思いますが、ハッキリ言って、もう解散総選挙、市民の力による政権交代しかないと思います。


昨日のブログで、私達の会派「社会民主党・みどり立川・市民の党」が提出・提案した『薬害肝炎の被害者全員救済を求める意見書』が市議会最終日に議員提出議案として提出され全会一致で可決されたと報告しましたが、立川市議会では意見書案はまず議会運営委員会で全会一致にならないと本会議に上程できないという申し合わせがあるため、国や製薬会社を批判する文書は2会派の要求で大分削られてしまっていますので、今日は原案(オリジナル)を掲載します。

社会民主党・みどり立川・市民の党提出

全ての薬害C型肝炎患者の救済を求める意見書(案)

 今日、日本には、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスをあわせて300万人から350万人の感染者・患者がいると推定されている。年間、肝がんなどで亡くなる3万人から5万人の大半は、B型・C型肝炎ウイルスが原因であると考えられている。
 ウイルス性肝炎患者の大半は、血液製剤血漿分画製剤・輸入血液製剤)の使用、集団予防接種における注射器の使い回し、つまり医療行為を原因とする医原性の感染によるものである。ウイルス性肝炎は潜伏期間が長く、多くの持続感染者(キャリア)は、感染を知らされないまま放置されている。また、重度化を防げなかったため、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行した患者は、十分な治療体制や生活支援がない中で、過酷な闘病生活と高額な医療費の負担、社会的な差別偏見に苦しんでいる。
 6月16日、最高裁は、集団予防接種による「B型肝炎訴訟」について、感染防止義務を怠った国の責任を全面的に認め、損害賠償の支払いを命じた。これによって原告被害者全員の勝訴が確定した。
 続く6月21日、大阪地裁は、「薬害C型肝炎訴訟」について、国と製薬会社(旧ミドリ十字=現三菱ウェルファーマ等)の過失責任を明確に認め、損害賠償請求の支払いを命じる判決を言い渡した。出産や手術時に止血剤として投与された血液製剤「フェブリノゲン」などにより、C型肝炎ウイルスに感染させられた患者らは、2002年以降、国と製薬会社を相手に、全国の5地裁に賠償を求めて集団提訴をしている。その初の判決となる大阪地裁で、国の薬事行政は「安全性確保の認識や配慮に著しく欠けており違法である」と厳しく指摘された。
 国は6月28日に控訴。製薬会社は7月4日に控訴。原告団は、判決が1987年4月以前の国の責任を認めず原告によって判決が異なることを不服とし、勝訴した人も含め原告全員が7月4日に控訴した。東京地裁は、11月に和解勧告を出した。
 「B型肝炎訴訟」は集団防衛を優先するあまり個人の健康が犠牲となりかねない予防接種行政の積年の問題を明らかにした。また「薬害C型肝炎訴訟」はサリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブ病など、過去に繰り返された薬害と同じ構図が、ウイルス性肝炎感染にもあることを示した。また、この間、厚生労働省が、感染者の本人特定可能な資料を製薬会社から受け取りながら地下倉庫に放置していた問題が明らかになった。
 このことによって、医薬行政の怠慢、誤りが明らかになった今、国は自ら反省し、過失責任を踏まえた肝炎対策へと政策を大きく転換すべきである。また、カルテの保存期間が過ぎて被害の証明ができない患者についても医師の証明等により救済の対象を拡大すべきである。
 よって、立川市議会は、国と製薬会社に対して、全ての薬害C型肝炎患者への救済を強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する