9日は、立川駅北口デッキの東側にて朝の宣伝、ニュースの配布。私のHPのフロントページの『五十嵐けんからひとこと』のコーナーで触れましたが、その後、入札談合・汚職事件の元砂川市所長・岡部被告と前契約課長・大野木被告の第2回公判を傍聴に東京地裁八王子支部へ。さらに、午後2時からおこなわれた「立川市入札事件再発防止調査委員会」を傍聴。と傍聴ずくめの1日でした。

公判で、両被告は追起訴分を含めて罪状認否で罪を認めましたが、大野木被告の弁護人が立川市役所内では談合に協力するような体質が公然とまかり通っており、一課長がその体質に抗し切れなかったと環境下水道部と都市建設部の課長2名、係長1名の3人を証人申請しました(この件について詳しくはホームページのフロントページを見てください)。
追起訴分も含め今回の公判で明らかになった概要は以下のとおり。

◎岡部被告が競売入札妨害とあっせん収賄罪、大野木被告が競売入札妨害罪で問われている工事の概要


1、若葉町2丁目地内給水管布設替工事 油谷設備工業が落札率95.76%で落札。

予定価格16,500,000円・落札価格15,800,000円(税抜き)入札年月日02年9月25日【本来は談合で高橋設備工業が落札する予定(順番)だったが、資金繰りに困っていた油谷設備工業が「談合破り」で落札。その後、談合グループに謝罪し、岡部被告に賄賂】
油谷設備工業の山田被告から岡部被告へ賄賂50万円。


2、富士見町6丁目地内内径150粍配水管新設工事 白井プラミングが落札率98.24%で落札。
予定価格14,200,000円・落札価格13,950,000円(税抜き)入札年月日02年12月18日
白井プラミングの白井被告から岡部被告へ賄賂40万円。


3、富士見町5丁目先導水管布設替工事 白井プラミングが落札率97.71%で落札。
予定価格35,000,000円・落札価格34,200,000円(税抜き)入札年月日02年8月21日
白井プラミングの白井被告から岡部被告へ賄賂100万円。

4、幸町2〜3丁目地内給水管布設替工事 冨士設備工業が落札率97.35%で落札。
予定価格15,100,000円・落札価格14,700,000円(税抜き)入札年月日02年12月11日
冨士設備工業の富沢被告から岡部被告へ賄賂45万円。


5、①高松町2丁目〜栄町4丁目地内給水管布設替工事 冨士設備工業が98.25%で落札。
予定価格7,583,000万円・落札価格7,450,000円(税抜き)入札年月日02年7月3日


6、②立川市立第4小学校東・西便所改修工事(機械設備)冨士設備工業が97.39%で落札。予定価格24,900,000円・落札価格24,250,000円(税抜き)入札年月日02年7月3日
①と②の謝礼として富沢被告から岡部被告へ賄賂150万円。


◎岡部被告、大野木被告ともに競売入札妨害罪で問われている工事の概要


7、泉町地内内径200粍配水管新設工事 ?皆木設備が落札率97.74%で落札。予定価格17,700,000円・落札価格17,300,000円(税抜き)入札年月日02年12月18日


皆木設備社長の皆木被告を起点として、談合するため業者を不正に指名するように岡部被告に依頼。依頼された岡部被告が前契約課長の大野木被告に頼んで不正指名をさせ、業者が談合。不正に高値落札をした業者がワイロとして工事の価格の約3%〜5%のお金を岡部被告に渡す(6件で385万円)。そして、大野木被告の弁護人からは、立川市には不正入札を支えるような体質が公然とまかり通っており、他の課長や係長が工事の入札の詳細の時期や予定価格の元になる設計価格を岡部被告に前もって教えていたということも指摘されました。犯行が「組織的ではない」とか、「組織的ではないと思いたい」などと言ってきた市長、助役は冷や汗をかいているんじゃないかなぁ。小学校の便所の改修工事までにも不正・談合は拡がっていたんですよ(教育上もよくない)。

この7件の工事の予定価格の合計は1億3098万3000円。キチンと競争がおこなわれていて、2割安くなれば、約2620万円が節約できることになります。油谷設備工業の山田被告が談合をしなければ最低制限価格に近い落札価格になると証言していますが、そうすると、3割安くなりますので、約3930万円の節約になるんです。ちなみに、もし、ここ4年間の立川市公共工事全体の値段が、2割安くなると、約41億円も税金が浮くことになります。

さて、午後2時から、市の調査委員会も傍聴。市民会議「たちかわみらい計画会議」から外部委員が今回から2名加わりました。そのうちの1名の方は積極的に発言をされていましたが、それ以外は活発な議論がおこなわれていないというのが実情です。残念ながら…。

まず、市側から、議会の特別委員会の質疑の状況と公判の状況などが口頭で説明されましたが(口頭だけでなく、キチンと資料を用意すべき、また議会で私を含めて資料請求して、出されている資料も配られていないのは怠慢です)、その時ペンを走らせている委員はほとんどいませんでした。説明後の質疑もあまり活発におこなわれませんでした。逮捕された清掃事務所長が不起訴になったことについて、法律用語としての不起訴には「起訴猶予」と「嫌疑なし」の2通りあるなどの議論はありましたけど…。入札結果や市の法令順守体制の問題を分析している監査法人や実態ヒアリングを担当している弁護士グループの報告の後も活発な議論はほとんどなし。例えば、外部委員は2名増えて5名になっていますが、そのうちの4人は市側や監査法人や弁護士グループの説明に対して、一言も発言していません。市民会議のお一人は今回からの出席ということで仕方が無いかもしれませんが。

特に、今日の公判で大野木被告の弁護人が市職員3人の証人申請をしたことも説明されましたが、この重要な事態についても積極的な質疑、議論はほとんどなく、私としてはガッカリというか、何でこの重要なことについてもっと聞かないの?と、若い人の言葉で言わせてもらうと、正直「ヘコミ」ました。

監査法人の分析の報告は、その中身が薄く一般的というか平板すぎます。またその視点も入札結果の分析や入札制度改革については的外れが多い。制度的にどこが談合を許してきてしまっているのかの観点がなさ過ぎます。また他自治体の先進例の分析についても浅い感じという印象。まだ分析の報告も途中だからかもしれませんが…。(もし、監査法人の方がこの日記を読んで、私に反論でもしてくれるとうれしいですけど)

弁護士グループの報告はまだまとまっていないということと、説明も口頭だけで具体的ではなかったのでよく分かりませんが、市議の口利き・人事への介入などの働きかけは大分あるようです。市の調査委員会が一貫してやろうとしないので、私は、市議会の特別委員会の中で、市議や元市議のアンケート調査をやるように強く要望していますがどうなることやら…。とりあえず、議長が会派代表などと検討することにはなったと思いますけど、それ以後、まだ、代表者会議は開かれていません。

とにかく、私は市民会議(みらい計画会議)から新たに市の調査委員会の委員になられた方に期待しています。