6日、立川駅北口デッキの上で朝の宣伝、久々にマイクを持って訴える。朝からガナリたててしまい、お騒がせしました。

その後、入札問題や教育問題などの3点について市に情報公開請求をおこない、午後7時から武蔵野スイングホールで行われたフォト・ジャーナリストの豊田直己さんのイラク現地報告会に参加。会場は若い人も含めて満員で、参加者は豊田さんの報告に聞き入りました。


米国によるイラク大量破壊兵器捜索を指揮したデビット・ケイ米中央情報局(CIA)特別顧問が辞任して、「大量破壊兵器の大量備蓄はなかった」と証言し、戦争の大儀はなかったことが明らかになりつつありますが、豊田さんはそのイラク戦争(=アメリカの侵略戦争)開始から、バクダット陥落までイラクに滞在し取材。昨年の11月23日から自衛隊が派遣(=派兵)されるサマワに1週間、その後バクダットに1週間滞在し帰国されたそうです。

確かにサマワはバクダットと比べて治安はすこぶる良かったそうですが、それは駐屯しているオランダ軍が「何もしていない」からであって、傍若無人の占領をしている米軍が悪いことを繰り返すバクダットでは治安が最悪とのこと。しかし、そのサマワでも、ひっきりなしに米軍の輸送部隊が通過する国道では米軍による子どものひき逃げ事件すら起こっており(米軍はひき逃げしても無罪放免)、緊張が走ると言います。豊田さんも米軍の輸送部隊を撮影しようとした時に撃たれそうになったそうです。

自衛隊派遣の口実に使われている浄水や給水のことについては、サマワにも水道局があり、浄水装置もあり、上水道が設置されていない農村部でも既にフランスのNGOが現地の人々を雇って給水活動を本格的におこなっていると報告。11月の時点でサマワの人々は、自衛隊という軍隊が来ることではなく、日本の企業(世界のSONYTOYOTAなど)が来て、雇用が生まれることを期待していることなども伝えられ、自衛隊が来ることで治安はむしろ悪化し、失業率が非常に高い(統計が無いが6割から7割の人に職がないようです)地元の人々の雇用の場を奪ってしまうのではと話していました。派遣される自衛隊員には給料のほかに1日につき3万円の手当が支給されるようですが、3万円あれば現地の人を1日100人雇えるとのことです。つまり自衛隊員が1000人行くとすると1日3000万円、このお金があれば1日10万人の現地の人を雇えるんですって。また、イラクには日本のODAによって総合病院なども建設されているが、「湾岸戦争」以降、医療機器などのメンテナンスもおこなわれなくなり、壊れて使えなくなったものも多く、現地の医師からはそういった機器を直してほしいという要望が非常に多いことなども報告されました。自衛隊が行かなくともイラクの現地の人々の復興支援はいろいろな方法があるんです。

また、豊田さんのライフワークと言っていいのかもしれませんが、劣化ウラン弾によるイラクでの被害状況などが報告されました。イラクでは「湾岸戦争」で米軍が使った劣化ウラン弾のために(放射能汚染によりヒバクした)子どもの白血病やガンが増えており、今回のイラク戦争でも米英軍は「通常兵器」として、この放射能を撒き散らす悪魔の兵器を大量に使用したと言われています。今後また子どもたちを初めイラクの人々を蝕み、健康被害をもたらすのではと豊田さんは危惧されていました。また米兵をはじめとしてイラクに滞在しているイタリア兵などが体調を崩して帰国しているということも報告。劣化ウラン弾の影響ではないかと指摘していました。ヒロシマナガサキの経験があり、被ばく治療の進んでいる日本はこのような医療の分野でも協力できるのではないでしょうか。

もう自衛隊派遣が決定され、もうすぐサマワに入ると報道されていますが、自衛隊派遣以外に日本がとるべき道は他にたくさんあると豊田さんの報告を聞いて改めて思いました。まさに小泉首相イラクのためではなく、大儀のない戦争を繰り広げ、イラク国民に大きな被害をもたらしたアメリカのために、いや、ブッシュ米大統領のために自衛隊派遣を決めたのではないでしょうか。イラク大量破壊兵器所有がアメリカの「デッチアゲ」である可能性が日に日に大きくなっていますが、小泉首相、あなたは確固たる確証なしにアメリカのイラクへの戦争を支持したのですか。そして、大儀の無いアメリカの占領を支えるために自衛隊を派遣するんですかと言いたくなりました(もう倒閣しかないか)。

英米系の研究者や平和運動家などでつくる調査グループ「イラク・ボディー・カウント」によると、イラク戦争で直接、間接的に死亡したイラクの民間人は2004年1月20日の時点で1万人近くに上っているそうです。この結果は、戦争で死亡した米兵死者約500人を圧倒的に上回り、戦争が一般市民を巻き込み、多くの命を奪ったことを浮き彫りにしています。

このように考えると、劣化ウラン弾をはじめとして大量破壊兵器を一番備蓄していて、確たる大儀もなしに、先制攻撃をして、罪もない人々を殺す怖い国家はアメリカ合州国に他なりません。その米軍を撤退させ、イラクイラクの人々に委ねていくことこそが本当の復興支援につながると思います。そしてその後にイラクの人々が本当に望む支援だったら日本は憲法前文に従って積極的に協力すべきだと考えます。皆さんはどう考えますか。

帰りに、会場で売っていた豊田さんの著書?『「イラク戦争」の30日 私の見たバクダット』(七つ森書館1800円+税)、?『イラク爆撃と占領の日々』(岩波フォト・ドキュメンタリー岩波書店 1800円+税)と豊田さんの報告文や写真が載っている?『Hiroshima Appeal 劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール』(編集・発行NO DU ( 劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト 700円)を購入。?と?はお奨めします。

豊田直巳さんの公式ホームページ『境界線の記憶』はhttp://www.ne.jp/asahi/n/toyoda/ です。