2011年度立川市一般会計歳入歳出決算への反対討論

9月28日に、9月市議会が終了しました。

久しぶりの更新になりますが、順繰りに9月議会のご報告をしたいと思います。

9月議会では決算特別委員会が4日間開かれました。4日間で一人会派の私に許された質問・質疑時間は答弁を含めて45分。十分な質疑はできませんでした。時間制限はいたしかたないにしても、十分質疑ができるように、決算特別委員会の日数を2日ぐらい増やして、質疑時間を増やすべきでしょう。

賛否が分かれたのは、2011年度立川市一般会計歳入歳出決算と2011年度立川市特別会計後期高齢者医療事業歳入歳出決算でした。両議案とも下記のように賛成多数で可決。


【賛成】民主党 公明党 自民党 安進会 生活者ネットワーク

【反対】共産党 みどり立川 市民の党(五十嵐)


以下が私の2011年度立川市一般会計歳入歳出決算への反対討論です。


2011年度立川市一般会計歳入歳出決算の認定への反対討論


 私は、議案第 71号、2011年度立川市一般会計歳入歳出決算の認定に反対の立場で討論をいたします。


 格差社会の拡大、貧困層の増大という日本の全国的な社会情勢の中で、2011年3月11日に起こった未曾有の東日本大震災福島第一原発の大事故により、依然として景気の低迷と雇用情勢の厳しさが続いています。
 立川市でも、立川市民1人当たりの給与収入額は、2011年度はほんの少しだけふえてはいるものの、2009年度と比べて2011年度では約14万4,000円も減っており、2000年度と比べると約40万4000円も減少しています。生活保護世帯も2010年度の3,573世帯4,894人からさらにふえて、3,690世帯、5,055人に増加し、生活保護率も28.1パーミルと、東京26市の中でも依然として一番高いという状況が続いています。


 立川市民の生活がより一層苦しくなっていることがうかがえますが、このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は、拡大する格差を是正し、貧困に歯どめをかけて貧困の連鎖を断ち切るために可能な限りのセーフティネットを張ることであり、本当に無駄な支出を削ったり、不要不急の事業を凍結して、地方自治体から社会保障の再構築をしていくことであります。2011年度は生活支援と雇用、労働・就労支援の強化が必要であるとともに「社会的包摂」の政策が必要であったと思います。


 そうした意味においては、立川市国民健康保険運営協議会での国民健康保険料の値上げを見送るべきという答申に従い、国民健康保険料の値上げを見送った英断は、大きく評価したいと思います。


 また、全小中学校の普通教室等へ冷房設備を設置したこと、若干補助の仕方に問題がありましたが、認証保育所、保育室、家庭福祉員及び認定こども園に通う乳幼児の保護者に月額1万円を補助する認定保育所等利用者負担軽減補助事業を始めたこと、学童保育の時間を延長したこと、予防接種の充実、生ごみの分別、資源化モデル事業、雇用・就労支援対策の強化のための地域活性化推進員の増員なども大きく評価できます。


 さらに、立川市の水道工事をめぐる談合事件以降着々と取り組まれてきた入札改革の成果は、落札率の低下による影響額として、2011年度も約6億8000万円の経費削減につながり、2004年度から2011年度までの8年連続しての行財政改革の取り組みの中で一番の削減効果となりました。その成果は8年間で約48億円もの経費削減になって立川市の財政に大きく寄与しています。このような入札改革の推進を堅持したことは大変意義深かったと言えます。


 さらにまた、市長・副市長・教育長などの特別職の給料の削減、施設管理業務点検調査、小学校全校への学校図書館システムの導入や学校図書館支援員事業を強化したこと、住宅用太陽エネルギー利用機器設置費補助事業、家具転倒防止器具の支給事業なども評価いたします。


 特に、2010年度から競輪事業で大きな行革となった電力供給の見直しを市の公共施設に広げ、東京電力から特定規模電気事業者(PPS)に切りかえたことは、2011年度で3000万円の節約になり、今年度の東京電力の電気料金の大幅な値上げを考えると、その成果はより大きく、先見の明があり、大きく評価できるものでした。

 
 しかし、かねてから拙速で安易な民営化であるとして反対してきた市立西砂保育園の民営化を強引に進めたことは認めることはできませんし、その結果、分園建設が遅れ、7名もの保育士の退職者を出したことは、不況下での民営化や保育士の不足の状況と相まって、民営化が孕む構造的な問題を浮き彫りにしています。その民営化のモニタリング期間を置かずに、見影橋保育園民営化の保護者説明会を始め、民営化に邁進する態度は、改めるべきです。


 また、土壌汚染の詳細な調査をせず、そこで働く人たちの給与水準や労働管理の整備が不十分なままPFI方式で進めた新学校給食共同調理場整備運営事業や、まだ必要があり、性急過ぎる身体障害者手帳5・6級に対する障害者手当の廃止や、火災警報器等助成制度の廃止、行革のメリットが少なく、市のチェックがしにくくなる東京都公平委員会への加入、安全確認が不十分なエコセメント化事業への支出、高すぎる市長退職金を大幅に減額しなかったこと、緊急雇用創出事業での新規雇用者への人件費割合が平均して6割弱しかないことなどは、到底認めることはできません。


 さらに、立川駅歩道立体化事業におけるデッキ整備は、不急の事業であり、厳しい財政状況の中においては凍結すべきであったと考えます。
 

 ごみ減量化については、一定の評価はいたします。しかし、燃やせるごみを5年間で半減する計画の中から、家庭ごみの有料化について削除すべきと訴えてきましたが、そういった検討が真摯になされず、今年度に家庭ごみ有料化の方針を示すことにつながっていることは承服できません。
 そもそも、家庭ごみの有料化は、拡大生産者責任をあいまいにし、ごみの発生抑制を後退させ、税金の二重取りにも当たり、増税や年金の引き下げ、各社会保険料や公共料金の値上げが次から次へとなされ、その負担増が市民の生活を直撃している中で早急に家庭ごみの有料化をすべきではありません。
 立川市では、さらなる徹底した分別によるごみの減量や資源化、まだまだ多い事業系ごみの減量、燃やせるごみの3割以上を占める生ごみのHDM菌による減容化に取り組めば、家庭ごみを有料にしなくてもごみの減量は十分可能と考えます。今後、家庭ごみの有料化方針は撤回すべきです。百歩譲ったとしても、他のごみ減量策を完璧におこなった後で、それでも減量の目標に達しない場合、経済情勢や市民の生活状況を勘案なしながら、おこなわれなければならないと思います。


 以上の理由により、総合的に見て、2011年度一般会計歳入歳出決算の認定には反対いたしますが、市民の生活を守り、希望を守って生活できる立川をつくるために、高齢者、障がい者、子どもに優しい温かみのある施策をとること、孤立死・「孤独死」の防止対策をしっかりとること、でき得る限りのセーフティネットを張り、格差を是正し、貧困をなくしていけるような「社会的包摂」政策をとり、公平な社会を目指していただけるように要望します。

 
 また、原子力災害を含めた防災・減災対策の見直しや、子どもたちのための放射線防護対策や脱原発を目指しての自然エネルギーへのシフトを求めるとともに、ずさんな安全対策しか持たず原発の大事故を引き起こし、立川の市政運営に大きな負担をもたらした東京電力に対して、市職員の人件費も含めたきちんとした賠償請求を行うことを要望いたします。


 さらに、2011年度において市内案件のある業種の工事では、不自然な高値落札が横行している状況について、調査し、発注方法に工夫と見直しを加えた対策をとることを切望します。


 以上で反対討論を終わりにします。