2011年度立川市一般会計予算への反対討論

遅くなってしまいましたが、先の3月議会での今年度の一般会計予算への反対討論です。

私は議案第1号 「2011年度立川市一般会計予算」に反対の立場で討論いたします。


 格差社会の拡大、貧困層の増大という日本の全国的な社会情勢の中で、2008年秋のリーマン・ショックから始まった世界的な恐慌は、日本においても実体経済に影響を及ぼし、自動車産業など輸出業種の企業では、派遣切りに象徴される非正規労働者の首切りで多くの失業者をつくり出しました。


 2009年に入っても景気低迷が続き、雇用情勢も悪化し続けてきました。2010年度版労働厚生白書によれば、2009年度の平均の完全失業率は5.2%となり、過去2番目の高さとなりました。今春の大学卒業者の就職内定率も昨年の12月時点で68.8%と過去最低となっております。


 また、不況型倒産は構成比で過去最大となり、自殺者数は13年連続で3万人を超え、そのうちの経済苦による自殺は4分の1を占めるということです。


 2009年の民間給与は、平均405万9,000円で、前年比23万7,000円の減、5.5%の減で、下落額、下落率とも過去最大であるとも報道されています。


 生活保護も、リーマン・ショックによる景気の低迷で、2008年12月以降はほぼ毎月1万人以上ふえる傾向が続いて、2010年12月時点での生活保護の受給者数が約199万人になり、200万人に届く勢いとなっています。


 立川市では、2011年度予算で法人税は23.4%の増加を見込んでいますが、13個人市民税は3.9%の減少になっています。立川市民の1人当たりの給与収入額は2009年度と比べて2010年度は約14万7000円も減って、3年連続で下がっており、2007年度と比べると約17万6000円も減少しています。生活保護世帯も前年度2009年度の3342世帯からさらに増えて3475世帯、生活保護率も26.6パーミルと、東京26市の中で依然として一番多いという状況が続き、2007年度の2814世帯から比べると約660世帯も増加しています。


 立川市民の生活もさらに苦しくなっていることがうかがえますが、このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は、拡大する格差を是正し貧困化に歯どめをかけて、可能な限りのセーフティネットを張ることであり、少子高齢化社会の中で、ムダを削って、地方自治体レベルからの社会保障の再構築と充実です。特に2011年度においては、生活支援と雇用・労働・就労支援の強化が必要です。


 その点においては、立川市国民健康保険運営協議会での国民健康保険料の値上げを見送りべきという答申に従い、国民健康保険料の1億5000万円もの値上げを見送ったこと、全小中学校の普通教室などへクーラー冷房設備を設置すること、若干補助の仕方に問題はありますが、認証保育所・保育室・家庭福祉員及び認定こども園に通う乳幼児の保護者に月額1万円を補助する認定保育所等利用者負担軽減補助事業を始めること、学童保育の時間を延長したこと、予防接種の充実、生ごみ分別・資源化モデル事業、雇用労働支援対策の強化のための地域経済活性推進員の増員などは大きく評価できます。


 また、談合事件以降、2004年度から2009年度までの6年連続しての行財政改革の取り組みで、一番の削減効果となった入札改革の推進を堅持していること、さらに、市長・副市長・教育長などの特別職の給与の削減、施設管理・業務点検調査、さらに小学校全校への学校図書館システムの導入や学校図書館支援員事業の強化なども評価いたします。


 しかし、かねてから拙速で安易な民営化であるとして反対してきた市立西砂保育園の民営化を強引に進め、その民営化のモニタリング期間を置かずに、新年度に見影橋保育園民営化の保護者説明会を始めようとしていることや、土壌汚染の詳細な調査をせず、そこで働く人たちの給与水準や労働環境の整備が不十分なまま、PFI方式で進めようとしている新学校給食共同調理場整備運営事業や、まだ必要があり、性急すぎる身体障がい者手帳5・6級に対する障がい者手当の廃止や火災警報器等助成制度の廃止、行革のメリットが少なく、市のチェックがしにくくなる東京都市公平委員会への加入などは到底認めるわけにはいきません。


 また、立川駅前歩道立体化事業におけるデッキ整備は、厳しい財政状況の中においては凍結すべきであったと考えますし、すでに見込みのない曙町の区画整理については凍結ではなく、中止を明確にすべきであり、都市マスタープランから削るべきです。ごみの減量化については一定の評価はいたしますが、燃やせるごみを5年間で半減する計画の中から、拡大生産者責任を曖昧にし、ごみの発生抑制を後退させ、税金の2重取りにもあたる家庭ごみの有料化については削除すべきです。立川市では多量排出事業者へのごみ減量義務を明確にし、さらなるごみの分別や生ごみの資源化・減容化に取り組めば、家庭ごみを有料にしなくてもごみの減量化は十分可能です。また、安全確認が不十分なエコセメント化事業の支出も同意できません。


 最後に、立川市の独自事業としての生活困窮者に対する施策や雇用・労働・就労対策は、率直に言って、まだ不十分であるように考えます。


 特に清水市長就任以来、職員削減目標が最優先され、金科玉条のごとく経営改革プランを強引に推し進め、現在は経営戦略プランを同様に推し進めようとしています。しかし、福祉関係の事業を民営化しようというときは、コスト論ありきではなく、方針をつくる前に当事者や現場などに広範に意見を聞いて、もっと慎重に時間をかけて調査、研究、分析を重ねるべきだと考えますし、指定管理者制度を導入した事業や民営化した事業については、第三者も交えた冷静かつ公平なモニタリングを丁寧におこない、そこで働く者がワーキングプアもしくはそれに近い状況にないかきちんとチェックし、サービスの低下がないか、また行財政改革としての評価についても慎重におこなうべきであると思います。


今後の指定管理者制度の導入や民営化などに関する市民説明会などにおいては、「何々ですから御理解ください」と言って、最終的には市民の意見を退けるという行為がないように強く求めるとともに、丁寧にそして謙虚に市民の意見に耳を傾けて聞いていただけるように求めます。


以上の理由により、総合的に見てこの2011年度一般会計予算には反対いたしますが、市民の生活を守り、希望を持って生活ができる立川をつくるために、市民の意見はもちろん、私のような野党の議員の意見にも耳を傾けていただきたいと思います。


 また、阪神淡路大震災から16年経ち、ニュージーランドのクリストチャーチの大地震の記憶もさめやらないうちに、東北・関東大震災が発生し、多くの命がなくなりました。


この場を借りて、被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々やそのご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。


この未曾有の大震災は原子力発電所メルトダウンという大事故を引き起こし、言わば「原発震災」の様相を呈しています。立川市でも震災被害者の方々を受け入れたり、市をあげての被災者支援に取り組みとともに、この大災害を受けての防災・減災の対策の強化や新たな対策を新年度以降に要望して、反対の討論を結びたいと思います。