2010年度立川市一般会計予算反対討論 3月議会のあれこれ その7 (予算特別委員会 5日目) 

3月1日から5日までおこなわれた3月議会・予算特別委員会(予特)での私の質疑を報告してきましたが、以下が一般会計予算の反対討論です。ちなみに、反対や賛成の討論には時間制限はありません。

【2010年度立川市一般会計予算反対討論】 

○委員(五十嵐けん君) 私は、社会民主党・みどり立川・市民の党の会派を代表して、議案第1号 2010年度立川市一般会計予算に反対の立場で討論をいたします。
 2006年に経済協力開発機構OECDは、日本の貧困化率はアメリカに次いで先進国で2番目となり、不平等の度合いが増していると指摘していますが、2009年10月に日本政府も低所得者の占める割合を示す貧困率について、2007年は15.7%だったと明らかにし、日本政府として初めて貧困率を公表しています。
 貧困率が高くなる一方で、この10年で年収2,000万円以上の富裕層は15万人から22万人へと約50%もふえています。貧困層が拡大する中で、富裕層だけでなく、低所得者層も固定化し、格差の底辺にいる人は意欲や希望の喪失により、貧困が連鎖固定化し、格差世襲、貧困の世襲と言われるまでになり、家庭の経済力が子どもの学力に影響するということもいろいろな調査が裏付けております。
 こうした格差社会の拡大、貧困層の増大という全国的な社会情勢の中で、リーマンショックなどの2008年秋から景気低迷が続き、雇用情勢も悪化をし続けています。立川市の個人市民税が5.9%も落ち込んでいますが、そのことからも立川市民の生活が苦しくなっていることが伺えます。
 このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は拡大する格差を是正し、貧困化に歯止めをかけて市民が人間らしく働き、暮らし、生きるための施策を進めることであり、可能な限りのセーフティーネットを張ることです。
 新年度予算では、談合事件以降の2004年度から2008年度までの5年連続しての行財政改革の取り組みで、一番の削減効果となった入札改革を一部の緩和があるにしても、その改革の方向性を堅持していること、施設管理業務点検調査、生活保護ケースワーカーの3名の増員、就労促進指導事業、介護サービス利用料負担軽減事業の予算の大幅増額、民営化を除く保育児童の待機児解消策、空き店舗を利用しての学童保育待機児解消策、ごみ減量の取り組みや非焼却方式のごみ処理への取り組み、普通学級臨時介助員事業の委託化を充実、学校図書館システムの導入や図書の整備、学校図書館指導支援員事業の継続など、苦しい財政の中でのやりくりで多々評価できる面もありました。
 しかし、私たちが兼ねてから拙速で安易な民営化であると反対してきた市立西砂保育園の民営化の予算が計上されていたり、地区図書館2館の試行的な指定管理者制度の導入の予算が盛られており、それだけでもこの予算に同意はできません。
 加えて、2008年度の2億7,000万円もの値上げに続き、受益者負担の適正化と称して国民健康保険料の2億円もの値上げを行うことは非常に残念です。さらに、当該の障がい者に事前の説明もないままでの5、6級の障害者手当の廃止は激変緩和措置をしたとしても納得できるものではありません。また、総事業費もわからず、市の持ち出しも幾らになるかわからないような立3・1・34号中央南北線の南伸などに言及すべきではなく、立川駅南口駅前大通り市道1級23号線の東西横断デッキの整備は不急不要で凍結すべきものです。立川市北口西地区市街地再開発事業も、市の持ち出しが大きくなる可能性があり、慎重を期すべき問題です。さらに、費用対効果が薄く、個人情報保護の点で議論が分かれる住基ネットワークシステムへの支出や、安全確認が不十分のエコセメント化事業への支出も同意できません。
 特に清水市長就任以来、職員削減目標が最優先され、金科玉条のごとく経営改革プランを強引に推し進めようとする姿勢ばかりが目立っています。新年度からは経営戦略プランを立てて同様な姿勢を貫こうとされていますが、福祉関係の事業を民営化しようというときはコスト論ありきではなく、方針を作る前に当事者や現場などに広範に意見を聞いて、もっと慎重に時間をかけて調査研究分析を重ねるべきと考えます。
 私たちは経営改革プランはもとより、経営戦略プランについても抜本的に見直すべきと考えています。特に福祉分野の見直しは慎重にすべきと考え、市民や職員の理解なしに強引に進めることに対しては、市民の立場に立って断固反対していく決意です。
 市長は施政方針演説で、
   市民との対話に当たっては十分な情報の公開や説明責任を果たし、市民の意見に謙虚に耳を傾ける。
─と言っておられましたが、その基本にこそ立ち返るべきです。
 また、依然として清水市長にはこの間の発言からしても、景気の動向を見誤り、競輪事業に依存し、国や都の官僚が主導する大規模プロジェクトを進め、借金をふやしてきたことの責任が希薄過ぎるのではないかと感じます。市長は市議会議員として、そして収入役という理事者の立場として立川市政に長くかかわられてきたわけですから、その立場をわきまえて今後の市政運営に当たっていただきたいと思います。
 以上の理由により、総合的に見て、この2010年度予算には反対いたしますが、市民の生活を守り、希望を持って生活できる立川をつくるために、私たちの意見にも耳を傾けていただき、予算執行に当たっては高齢者、障がい者、子どもに優しい、温かみのある施策をとること、でき得る限りのセーフティーネットを張り、格差を是正し、公平な社会を目指していただけるように要望するとともに、ごみ問題解決のために政治生命をかけるということですので、その点では最大限の御努力をお願いして、反対の討論を終わります。<<