国民健康保険料の値上げに 反対の声を

清水市長は今年の1月7日になって矢継ぎ早に立川市国民健康保険運営協議会に国民保険料の値上げを諮問してきました。まあひどい事に、立川市民の被保険者にとっては総額で約1億6000万円の値上げになる切実な問題にもかかわらず、審議は1月7日と18日と25日の3日間6時間強しかありませんでした。しかも事前に資料も配られなかったので1月7日は実質資料請求が主で審議は進みませんでした。

私もこの協議会の委員なので、値上げに反対の立場で臨んでいましたが、結果的にこの値上げの諮問に明確に反対したのは残念ながら私ひとりだけでした。他の10人の委員のうち明確に賛成したのも2名のみで、あとの方々は低所得層の対策をすべきとか、出産一時金の増額、旅行事業の復活を求める条件付的なやむを得ない賛成でした。しかし、明確な修正案を主張するものはなく、付帯意見をつけるにとどまってしまい値上げの諮問にイエスの答申を出すことになってしまったと言うのがことの顛末です。無念ですが、論戦の場は3月の予算の市議会に移ります。まだ値上げが決まったわけではありません。市長に対して、国民健康保険料の値上げをやめろ!!の声を届けましょう!!

国保料値上げをやめろの声を 清水市長へ
Eメール  kouhoukouchou@city.tachikawa.lg.jp 

立川市のホームページの意見・提案コーナー

ホームページ

http://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/index.html

意見・提案コーナー https://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/participation/index2.html :title=https://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/participation/index2.html ]

市長への手紙(広聴ハガキ) 市の施設などにあります

市民相談係  TEL 042-523-2111(内線215)

広聴ファクス FAX 042-521-2653


以下は1月25日に私が出した答申についての意見書と1月18日に提出した財源はあるという意味での「『税制改正』に伴う立川市への年度影響額について」と「最近の立川市行財政改革の状況」という資料です。

国民健康保険運営協議会答申についての意見書

2008年1月25日   立川市国民健康保険運営協議会委員 五十嵐けん

2006年に経済協力開発機構OECDは、日本の貧困化率は、アメリカに次いで先進国で2番目となり、不平等の度合いが増していると指摘しています。また、厚生労働省が発表した2006年度版労働経済白書は、正社員かどうかの雇用形態によって、20代、40代の所得格差が拡大し、特に20代において非正規労働者が増加し、格差拡大に固定化の懸念があると指摘されています。さらに、内閣府の国民生活に関する世論調査では、日常生活で悩みや不安を感じている人は69%となり、前回調査よりも1.9%もふえて、40代、50代に危機感が強くなっています。さらにまた、国税庁がまとめた民間給与実態統計調査では、民間企業のサラリーマンやOLが昨年1年間に受け取った平均給与が9年連続減で、給与所得者のうち、200万円以下の割合は、前年から1.0ポイント増の22.8%、300万円以下の割合は、1.2ポイントふえて38.8%とふえ続けており、100万以下の世帯も8%となって1983年の水準に戻るなど、低所得者の割合が高まり、より格差が広がっております。小泉政権と安倍政権の構造改革によって、資産と所得の二極分化が進み、預貯金や株式などの純金融資産を1億円以上保有する金持ち世帯、いわゆる富裕層や一部の大企業は、膨大な利潤、利益を上げていますが、多くの国民、一般市民は、大変苦しい生活を強いられており、さまざまな調査は景気回復の恩恵がほとんどなく、国民を取り巻く情勢は、依然として大変厳しいということを示しています。また、定率減税の全廃、各種控除の廃止や年金保険料の引き上げなどの増税及び介護保険の見直しや障害者自立支援法の制定によって、働く者、高齢者、障がい者の自己負担がますます増加し、福祉や介護、医療や保健に関するサービスはますます低下しています。

このような格差社会の拡大、貧困層の増大という全国的な社会情勢の中で、立川市民の給与収入も8年連続減、課税所得300万円以下が4分の3を占め、生活保護率はここ数年、東京26市中一番高く、就学援助や国民健康保険の滞納率も高い水準になっていることから、立川市民の生活もさらに厳しくなっていることがうかがえます。このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は、拡大する格差を是正し、貧困化に歯止めをかけて、市民が人間らしく働き、人間らしく暮らし、人間らしく生きるための施策を進めることであると考えます。

今回の市長からの国民健康保険運営協議会への「2008年度(平成20年度)国民健康保険料率の改定について」の諮問案は、多くの被保険者に対して国民健康保険料の値上げになるものです。特に介護納付金分保険料を支払っていない40歳未満の約16200世帯には、該当世帯数による単純計算でも約6300万円の大幅な値上げになり子育て世代を直撃するほか、40歳以上の世帯でも旧ただし書き所得で300万円未満の世帯や600万円以上の世帯でも値上げになります。

改定をしないと約2億6000万円の不足が発生するとのことですが、そのうちの約1億6000万円が保険料の値上げになるわけです。特に立川市では2003年度に国民健康保険料値上げ約4億1119万円、2004年度に国民健康保険料値上げ約9770万円、2005年度に国民健康保険料、介護第2号被保険者分・約4094万円、一般医療保険分・約1億4178万円、退職医療保険分・約4457万円、2006年度にも国民健康保険料介護第2号被保険者分約1011万円と4年間で、約7億4630万円の負担増が国民健康保険料の値上げによって生じており、被保険者世帯の家計を直撃しています。定率減税の全廃、各種控除の廃止や年金保険料の引き上げなどの増税に加えて、原油高騰などによる値上げラッシュの中で、1億6000万円の負担となる、さらなる国民保険料の値上げは立川市民の被保険者世帯を直撃し、一層の生活苦を助長し、貧困化を進める一因になります。

よって、今回の「2008年度(平成20年度)国民健康保険料率の改定について」の諮問案は到底認められるものではなく、反対です。

特に、1億6000万円の保険料値上げを含む2億6000万円の財源は、今、立川市にないわけではありません。2005年度から2007年度までの増税によって、下記に示すように立川市は国民への増税と引き換えに大きく増収となっています。配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止で2億3000万円、生計同一の妻に対する非課税措置の段階的廃止2005年度約1500万円・2006年度約1600万円、老年者控除の廃止で約1億6000万円、公的年金等控除額引下げで約6700万円、定率減税の2分の1縮減で約4億7000万円、老年者非課税に係る人的非課税措置段階的廃止で2006年度約1300万円・2007年度約1300万円、2007年度の定率減税の廃止(前年の半減分は除く、07年度の残りの半減分のみ)約4億9300万円(2007年度分は当初予算段階の数字)。つまり、2004年度と比べて単純に計算しても、国の「税制改正」(=税制改悪)の増税によって、立川市としては約14億1000万円の税収増になっています。

また、2003年の水道工事をめぐる談合事件発覚後の入札制度改革によって経費削減効果も大きくなっています。競争性が働き落札率が低下したために、実際に予定していた額より、大分値段が下がり、工事、委託契約、物品購入における契約差金は2004年度が約7億円、2005年度が約11億8,900万円、2006年度は約10億8,400万円という節約ができています。2003年度の平均落札率を基準として、その平均落札率と比較して、いくら節約できたかを影響額として示した「落札率低下による影響額」も工事、委託契約、物品購入をあわせると2004年度・約2億9000万円、2005年度・約6億3000万円、2006年度・約6億1000万円と05年度と06年度では最大の行財政改革となっています。この他にも他の行財政改革の進展や法人市民税収の増もあり、保険料値上げを据え置くための財源は十分にあります。

立川市国民健康保険加入世帯の所得階層は、旧ただし書き所得で200万円未満で約77%、300万円未満で約86%と低所得層に偏っていることが分かります。国民健康保険料の滞納世帯は2004年度が8,354世帯、2005年度が8,553世帯、2006年度が8,657世帯と増える傾向にあり、被保険者資格証明書の交付も2004年度17件、2005年度38件、2006年度46件と急増しており、これ以上の保険料の値上げは、低所得層を一層生活苦に追い込み、保険料の滞納や資格証明書の交付を増加させる可能性も十分あります。これでは国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の据えの悲しい死亡の事件を立川市で聞くことにもなりかねません。

諮問をした清水庄平市長ご自身が市議会ではセーフティ・ネットについて、
《市民が生涯安心して生活するためのセーフティ・ネットの構築は、国及び地方自治体に負わされた使命と考えております。立川市は、福祉施策に限らず、市民生活の面や市民の安全・安心を確保するための施策など、さまざまな分野で施策の充実をしてまいります》と答えています。国民健康保険は、中小零細自営業者や社会保険に加入していない中小零細企業に勤める者や派遣などの非正規社員やフリーターや失業者や退職者など所得が少ない方々が加入する最後の受け皿的な役割を果たしています。もともと保険料で急増する医療給付をまかなうのは無理があり、国が補助率を下げたために、構造的に市町村が一般会計から繰り入れをしなければならないようになっています。そのような構造的な欠陥があるとはいえ、低所得層を中心とする被保険者に保険料の値上げを押し付けてはいけません。

 例えば、2005年度の一人当たりの医療費・保険料の状況を見ると、立川市は多摩26市中、医療費は20位で低い状況にあるにもかかわらず、医療分保険料は5位と高い状況にあります。また一人当たりの法定外繰入金も20位と財政状況の割りに低くなっています。

市長が「市民が生涯安心して生活するためのセーフティ・ネットの構築は、国及び地方自治体に負わされた使命と考えております」と言うように、国民健康保険は、市民が生涯安心して生活するためのセーフティ・ネットに他なりません。この点からも、今回の諮問案は認めずに、保険料は据え置くように答申すべきものと考えます。また、値上げをせずに、国や東京都に対して補助を上げるようにさらに要望していくべきです。

他の委員からのご賛同を求めて、私の意見とします。


税制改正」に伴う立川市への年度影響額について

2005年度(H17)【課税状況等調べ】決算額

1、 配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止(約18,000人)2億3000万円
2、 生計同一の妻に対する非課税措置の段階的廃止(約11,000人)約1500万円

計 約2億4500万円

2006年度(H18)【課税状況等調べ】決算額

1、 生計同一の妻に対する非課税措置の段階的廃止(約11,000人)約1600万円
2、老年者控除の廃止(約6,900人) 約1億6000万円
3、公的年金等控除額引下げ(約7,000人) 約6700万円
4、定率減税の2分の1縮減(約82,000人)約4億7000万円
5、老年者非課税に係る人的非課税措置段階的廃止(約2,200人)約1300万円

計 約7億2600万円

2007年度(H19)【課税状況等調べ】当初予算
1、定率減税の廃止(前年の半減分は除く、07年度の残りの半減分のみ)約4億9300万円
2、老年者非課税に係る人的非課税措置段階的廃止 約1300万円

計 約5億600万円

累計 約14億7500万円


定率減税全廃の影響額は単純に計算しても
4億7000万円 + 4億9300万円 =9億6300万円はあることになります。

※ なお、この資料は立川市財務部課税課に資料請求したものを基に五十嵐が作成しました。

2008年1月18日 立川市国民健康保険運営協議会委員 五十嵐けん作成


最近の立川市行財政改革の状況

(1)入札制度改革による経費削減効果
立川市の工事・委託事業の落札率と契約差金

1、工事の落札率と契約差金
           落札率    契約差金         
2002 年度(H14)  93.13 %    3 億 437 万 7612 円    
2003 年度(H15)  91.87 %    2 億 7780 万 1545 円   
2004 年度(H16)  84.77 %    3 億 7825 万 4499 円   
2005 年度(H17)  82.24 %    6 億 151 万 3959 円    
2006 年度(H18) 81.20 %    6 億 5525万3051円

2、委託事業の落札率と契約差金
         落札率    契約差金         
2002 年度(H14)  97.03 %    1 億 3828 万 1576 円   
2003 年度(H15)  96.57 %    1 億 6847 万 4080 円   
2004 年度(H16)  93.28 %    2 億 8593 万 794 円   
2005 年度(H17)  92.25 %    5 億 4234 万 5363 円
2006 年度(H18)  90.49 %    3 億 9350 万3393円

3、落札率低下による影響額 (工事+委託+物品)

※2003年度(H15)の平均落札率を基準として、そのときの落札率と比較して、いくら節約できたかを影響額として示したもの。これには物品購入の分も含まれています。05年度と06年度では最大の行財政改革となっています。

2004年度(H16 ) 約2億9000万円   
2005年度(H17) 約6億3000万円   
2006年度(H18) 約6億1000万円   

(2)その他
通勤手当の見直し 約6900万円 (2006年度決算、2003年度と比べて)
○特殊勤務手当ての見直し 約2400万円(2007年度までに)最終的2010年度までには約3300万円の削減効果

2008年1月18日 立川市国民健康保険運営協議会委員 五十嵐けん作成