過去に目を閉ざす者は現在に盲目となる
8・15 平和のために行動を!!
8 月 6 日、 9 日の広島、長崎の原爆投下の日が過ぎ、 61 年目の敗戦の日を迎えようとしている中、小泉首相が 8 月 15 日に靖国神社に参拝するのかどうか焦点となっています。

しかし、靖国神社には、原爆によって非業の死をとげた人々や唯一地上戦がおこなわた沖縄で悲惨な死に追いやられた人々、東京大空襲などの各地の空襲でなくなった人々などの非戦闘員である国民はもちろん「祀られて」いません。旧日本軍が犯した侵略戦争によって殺されたアジアの国々の人々を追悼するという思想もありません。

靖国神社は、戦前戦中は過去の侵略戦争に国民を動員し、巻き込んで行った精神的支柱になった「戦争神社」であり、その本質は、A級戦犯を除いては戦争に行って死んだ軍人・軍属しか「祀らない」ということです。だからこそ、「戦没者を慰霊する」と言うけれども、それは軍人・軍属だけで、原爆や空襲などで死んだ人などは対象外なのです。つまり、戦争に行って天皇のために死ねば神となり、それを英霊として「祀る」ことで、人の死という本来は悲しむべきことを尊いこととしてさらに国家のために忠誠を誓わせるという「転換装置」となっていたのです。靖国神社は戦後も過去の侵略戦争を美化、正当化し続けています。過去の過ちを真摯に反省する視点を欠いていれば、平和のための追悼とは無縁の、再び国家に忠誠を強制し、戦争に国民を動員するような「装置」になりかねません。

私は二度と再び侵略戦争という過ちを繰り返さず、加害者にも被害者にもならないために、アジア太平洋戦争のすべての犠牲者(戦闘員や非戦闘員にかかわらず戦争で命を落とした日本国民やアジア諸国の国民など)に思いを馳せ、心に刻みながら追悼をすべきと考えています。また、憲法政教分離の原則からも、そして未来にわたって日本がアジアの国々と共生していく観点からも、首相や閣僚である限り、靖国神社公式参拝すべきではないし、「私的参拝」も控えるべきだと思います(もちろん公人でない個人が参拝することについては信教の自由もありますから参拝するなとは言いません)。戦争犠牲者すべてを追悼する手立ては他にあるはずです。

少し前に、昭和天皇が「 A 級戦犯の合祀について不快感」を表明していたことが報道されていますが、これによって「 A 級戦犯の分祀」すればすべてが解決するというようなことに、「靖国問題」を矮小化してはいけないと思います。今必要なのは日本国民が中国や朝鮮半島をはじめとするアジア諸国への植民地支配、侵略戦争や侵略行為を総括して、その中で靖国神社がどのような役割を果たしていたのか、また今後どのような役割を果たそうとしているのかを踏まえた上で靖国参拝問題を考え、今後のアジアとの平和・共生をつくるためにどうすべきか、日本国民自らが決着つけていくべき問題だからです。

以下の通り、私も毎年参加している平和遺族会全国連絡会による「集いと平和行進」が 8 月 15 日に行われます。多くのみなさんのご参加を心より呼びかけます。


アジアと共に生きる日本を

小泉首相靖国神社参拝の中止を!!
アジアの平和と和解・共生をめざそう!

◎集い: 8 月 15 日(火)
9 時 15 分開場、 9 時 45 分開演 正午まで

◎ 場所:日本教育会館 8 階第 1 会議室
(地下鉄神保町・竹橋駅九段下駅下車)

◎ 記念講演「憲法から靖国問題を考える」

講師=横田耕一さん(九州大学名誉教授、憲法学者

◎基調報告=西川重則・平和遺族会全国連絡会代表(戦没者遺族)
「アジアの叫びに応えよう!ーー日本はアジアに何をしたのか」

◎アピール 高金素梅(チワス アリ)さん(台湾立法委員・靖国アジア訴訟原告団長・平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会共同代表)

◎「沈黙の時」(アジア太平洋戦争のすべての犠牲者に思いを馳せ、心に刻みながら追悼の時をもつ)

◎平和行進
正午から靖国神社周辺を戦没者遺族を先頭に平和行進

◎参加費=500円

◎主催=平和遺族会全国連絡会


平和遺族会全国連絡会とは ?

1985 年 8 月 15 日、当時の中曽根首相が「遺族の多くが望んでいる」として、憲法政教分離原則を踏みにじり、靖国神社公式参拝しましたが、これに抗議して、翌1986年の 7 月 7 日に平和遺族会全国連絡会が結成されました。以来、首相・閣僚の靖国神社公式参拝反対、アジアの被害者への戦後補償要求、「周辺事態法」によるアメリカへの戦争協力や有事法制憲法改悪などの動きに反対し、武力によらない平和・共生の道を歩もうと訴え続けています。現在、 北海道 から沖縄まで、 14 の平和遺族会が加入しています。