こんな理由で反対しました。9月議会での2012年度立川市一般会計歳入歳出決算認定への反対討論


2013年9月17日の決算特別委員会での討論ですが、長文なので勝手に小見出しを付けます。


○委員(五十嵐けん君) 私は、議案第59号 2012年度立川市一般会計歳入歳出決算の認定に反対の立場で討論いたします。


水道工事をめぐる談合事件から10年。
入札改革の成果9年で114億6200万円!!
談合をさせない改革を!!


 さて、今年度は、立川市の水道工事をめぐる談合事件から10年目の節目の年に当たります。事件後、着々と取り組まれてきた入札改革の成果は、落札率の低下による影響額として、2012年度決算で約6億7,100万円の経費節減につながり、行財政改革の取り組みの中では、2004年度から2012年度までの9年連続しての一番の削減効果となっております。その成果は、9年間で約54億6,600万円もの経費節減になっています。さらに、落札差金ベースでは、2012年度決算での落札差金は、工事、委託、物品購入を合わせると約15億5,700万円、事件後9年間の落札差金の合計は約114億6,200万円と、100億円を超えています。これらの入札改革の成果による節約金は、市当局がみずから認めるように、立川市の財政に大きく寄与してきました。まず、このような入札改革の推進をこれからも堅持していくこととともに、2010年度末から市内案件の空調工事、給排水衛生工事、造園関連の工事などの工事で不自然な高値落札が横行している状況について、その業種の2割から3割を都内案件に広げるなど、発注方法に工夫と見直しを加えた毅然たる対策をとることを切望してから、討論に入ります。


立川市民の給与収入は減少傾向、生活保護率は東京26市でトップ
新年度に向けてさらなる生活支援と雇用、労働、就労支援の強化を!!


 格差社会の拡大、貧困層の増大という日本の全国的な社会情勢の流れの中で、2011年3月11日に起こった未曾有の東日本大震災福島第一原発の大事故により、2012年度も依然として景気の低迷と雇用情勢の厳しさが続いていた年でした。立川市でも、立川市民1人当たりの給与収入額は、2012年度はほんの少しだけふえているものの、2009年度と比べて約14万4,000円も減っており、2000年度と比べると、約40万7,000円も減少しています。生活保護世帯も、2011年度の3,690世帯、5,055人からさらにふえて、3,820世帯、5,235人に増加し、生活保護率も29.2パーミルと、東京26市の中でも依然として一番高いという状況が続いています。立川市民の生活がより一層苦しくなっていることがうかがえますが、このような市民を取り巻く情勢の中で、立川市の任務は、拡大する格差を是正し、貧困に歯どめをかけて、貧困の連鎖を断ち切るために、可能な限りのセーフティネットを張ることであり、少子高齢化社会の中で無駄を削って、地方自治体から社会保障の再構築をしていくことであります。特に、新年度に向けて引き続き生活支援と雇用、労働、就労支援の強化が必要であると思います。


評価できたこと


 苦しい財政事情の中で、評価できる面もありました。孤立死孤独死の防止対策への取り組み、子どもたちを守るための放射線関連測定、談合事件以降、2004年度から2012年度までの行財政改革の取り組みで、9年連続して一番の削減となった入札契約制度改革を、一部の緩和があるにしても、その改革の方向性を堅持していること。競輪場から始まり、53の公共施設に広がった電力供給契約の見直しを堅持し、さらに対象施設に市役所本庁舎も加えたこと。今年度から急遽やめてしまいましたが、決算年度にはやっていたこと、市長、副市長、教育長の給料の削減。成果を上げている地域経済活性化推進員による創業や就労などの相談事業の継続。不十分でありながらも、2名増員された生活保護ケースワーカーの増員。介護サービス利用料負担軽減事業の充実。民営化を除く保育園の待機児解消策、学童保育待機児解消策とサマー学童保育所の運営、生ごみ分別資源化モデル事業の継続と事業系ごみの削減などのごみ減量策の充実、住宅用太陽エネルギー利用機器設置補助事業の充実、学校図書館支援事業の継続や中学への学校図書館システムの導入、伸び悩んだ感はあるものの、充実した家具転倒防止器具の助成事業、ジェネリック差額通知の発送などです。


拙速で安易な保育園の民営化と慎重さに欠ける地区図書館の指定管理者制度の導入は見直しを!!


 しかし、私がかねてから拙速で安易な民営化であると反対してきた保育園の民営化を進めようとしていること、特に西砂保育園の民営化の検証が不十分なまま、見影橋保育園の民営化を推し進めたことや、地区図書館2館の試行的な指定管理者制度導入に続き、残りの地区図書館にさらに指定管理者制度を導入しようと準備したことは、どうしても同意できません。少なくとも、見影橋保育園の民営化に際しては、引き続き保護者の声を今までと同様に真剣に受けとめ、丁寧に聞いていくことを求めます。今年度から始まった江の島保育園の民営化については、本来ならば、見影橋保育園の民営化をきちんと終えてから行うべきであり、同時進行で進めるべきではありません。百歩譲っても、西砂、見影橋保育園の民営化の検証をきちんと行った上で、慎重に取り組むべきでしょう。


 また、地区図書館への指定管理者制度の導入については、私の持論は、少なくとも地区図書館のうち1館か2館は直営で残すべきということです。万が一、大きな不祥事が起きて、指定管理者の指定解除という想定外の事態ということを想定すると、リスク分散をしなければいけませんし、地区図書館はアンテナ館として図書館職員の育成にも役立つという観点もありますから、最低でも地区館1館は直営として残しておく。そして、指定管理者と切磋琢磨するような体制をつくることこそが必要だと思っています。


苦しい家計に追い打ち 国民健康保険料の大幅値上げはもってのほか!!


 加えて、2008年度の2億7,000万円、2010年度の1億6,000万円の値上げに続き、受益者負担の適正化と称して、約3億2,300万円の国民健康保険料の大幅な値上げをしたことは、納得できるものではありません。


事業系ごみの減量化が先のはず、順番が違う家庭ごみ有料化 増税続きの中で進めるな!!


 さらに、市民説明会での多くの反対を押し切って家庭ごみの有料化を進めたことについては、断じて許すわけにはいきません。そもそも家庭ごみの有料化は、不況下に苦しむ家庭、家計を直撃する、税金の二重取りであり、拡大生産者責任を曖昧にし、ごみの発生抑制を後退させるものです。燃やせるごみの減量は、事業系ごみのさらなる削減と徹底した分別によるごみの減量、家庭ごみの3割から4割を占める生ごみをHDM菌による生ごみ減容化システムにより処理することで十分可能でした。順番が間違っていますし、増税続きの中で家庭ごみの有料化を行うべきではありませってした。


不急不要のデッキはいらない!!


 また、不急不要で、回遊性という点からも効果が非常に薄い、立川駅前歩道立体化事業は、凍結すべきだったものと考えます。2011年度に整備した立川駅南口駅前大通り、市道1級23号線の東西横断デッキも歩行者が非常に少なく、2012年度に整備された国営公園南線横断デッキ整備も歩行者が少なかったのではないでしょうか。緊急性もあったとは思えません。


 さらに、費用対効果が薄く、個人情報保護の点で議論が分かれる住基ネットワークシステムへの支出や、安全確認が不十分なエコセメント化事業への支出も同意できません。


 市議会から批判があり、委託費を400万円計上していた新庁舎建設記念誌制作事業については、委託せずに、庁内でお金をかけずに実施したことは評価しますが、何でも委託していこうとする(「1年違うんじゃないの」と呼ぶ者あり)―これは合っているよね。間違っている。合っているよね。―どこからだっけ。庁内でお金をかけずに実施したことは評価しますが、何でも委託していこうとする姿勢は職員の力を低下させかねないと思いますので、今後の委託のあり方については十分気をつけるように要望します。


生活困窮者などの貧困層を社会的に排除しない社会的包摂の政策を!!


 私は、経営戦略プランについて、全て反対するものではありませんが、厳しい市民生活を鑑みて、福祉部分の見直しは慎重にすべきだと考え、保育園の民営化や図書館への指定管理者制度の導入を市民や現場職員の理解なしに強引に進めることに対しては、市民の立場に立って、これからも反対していく所存です。


 以上の理由により、総合的に見て、2012年度一般会計歳入歳出決算の認定には反対いたします。市民の生活を守り、希望を持って生活できる立川をつくるために、高齢者、障害者、子どもに優しい、温かみのある施策をとること、でき得る限りのセーフティネットを張り、格差を是正し、公平な社会を目指していただけるよう、またますます必要となっている生活困窮者などの貧困層を社会的に排除しないという社会的包摂の政策を要望いたします。


 さらに、原子力災害を含めた防災、減災の対策のさらなる見直し、強化や、子どもたちのための放射線防護対策をさらに充実させること、脱原発を目指しての自然エネルギーへのシフトを求めるとともに、ずさんな安全対策しか持たず、現在も汚染水をたれ流している、その原因となった原発の大事故を引き起こし、立川市の市政運営に大きな負担をもたらした東京電力に対して、引き続き市職員の人件費を含めたきちんとした賠償請求を継続して行うことを要望いたします。


 以上で反対の討論を終わりにいたします。


議案への賛否

【賛成】
公明党、民主・市民フォーラム(民主党)、自民党、安進会、生活者ネットワーク

【反対】
共産党、緑立川、市民の党(五十嵐)


賛成多数で決算議案は認定。